『テキサス群盗団』(66)
早撃ちで名高いジェス・カーリン(オーディ・マーフィ)は、町を牛耳るルーク(ブロデリック・クロフォード)の策略でお尋ね者となりメキシコで暮らしていた。
ある日、町から来た男から、新聞社を営む兄が殺されたことを聞く。彼は敵討ちを誓い、真相を確かめるため、再び町に帰るが、ルーク率いる手下たちが待ち構えていた。
戦場のヒーローから映画スターとなったマーフィ主演の劇場未公開の西部劇で、原題は「THE TEXICAN」。何も考えずに見られるようなB級西部劇の典型的な1本だが、アメリカとスペインの合作故か、マカロニウエスタンのにおいがぷんぷんする。相手役のスペイン女優ダイアナ・ロリスも、けばけばしい感じがして、甚だ西部劇には似合わない。
この映画のマーフィは、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)で、レオナルド・ディカプリオが演じた、イタリアに流れる落ち目の西部劇スター、リック・ダルトンとイメージが重なるところがある。もしかすると、タランティーノ頭の中にはマーフィもいたのかもしれない。
早撃ち、乗馬に加えて、ボクシングの経験もあるというマーフィは殴り合いのシーンも、なかなか迫力があるのだが、ベビーフェイスと小柄な体格が邪魔をして、どうしても小粒に見えてしまうところがある。この映画の頃は、すでに映画スターとしては黄昏を迎えており、71年に飛行機事故で亡くなっている。
それにしても、この邦題はひどい。群盗団などどこにも出てこないのだから。
オーディ・マーフィ
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