秋は夕暮。夕日のさして山のは いとちかうなりたるに、
からすのねどころへ行くとて、みつよつ、ふたつみつなどとびいそぐさへあはれなり。
まいて雁などのつらねたるが、いとちひさくみゆるはいとをかし。
日入りはてて、風の音むしのねなど、はたいふべきにあらず。
清少納言 枕草子
岩波書店 日本古典文學大系
みつよつ、ふたつみつというところが写実を超えた世界とみられています。
随想とみるべき根拠の一つと言われています。
平安時代の美しい秋の夕暮れを想像して、何度も何度も読み返し、暗記しました。
私も見たものを簡潔に、表現してみたいと強く思いました。
岩波書店の日本古典文學大系は、国文学科では教科書です。
昭和47年1冊2100円もしました。
私が貸与されていた日本育英会の奨学金が月8000円でした。
母からの仕送りが、月3000円。
沼津と東京の東海道線の電車賃片道550円。
ハガキ5円。
昔何気なく私の本箱の古典大系を手にした知人に、Г書き込みがしてあるんだね」と言われたことがあります。
古典文學大系など、飾りものと思っていたみたいです。
昨年静岡県で、震度6の地震があり、崩れた本の下敷きになって、亡くなった方がいらっしゃいます。
本は私にとっては大切な宝物です。
けれど、私もかなり沢山の本を処分しました。
初めての慣れない東京生活で、色々なアルバイトをしまくって、手に入れた日本古典文學大系だけは別格です。
さうが夢見るタンポポおばさん。
国語の先生。
私は体育会系。古典は苦手でしたよ。
清少納言は小さな事に眼が届く人なのかな?