鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第24回】 適正利益

2011年01月24日 | 住宅コンサルタントとして
ありがたいことに、いろんな会社の経営者の方とご縁を頂戴しておりますが。
特に中小の工務店さんの社長には、

「利益をたくさん取ると、仕事が受注出来ない」
「利益をたくさん取ることは、悪いことだ」

という考え方を持つ人が多いような気がします。

少ない利益でお客様から仕事を頂戴し、お引渡しすることがいいことだ、と思っているのです。

でも、これは住宅業、建設業の経営的な発想から言えば、ちょっと違うような気がするのです。

お客様の一生を左右する家を建てさせていただく立場の会社は、
建てた後もずっと責任を負うことになります。

お引渡し後に万が一のことがあったら、絶対に対応させていただかなくてはなりません。
それが出来なくなることが、お客様にとって最大のご迷惑になると思います。

昨日、とある工務店さんにお伺いしていたのですが、
そこでは外断熱工法におけるメリットと危険性について、いろいろと教えていただいていました。

そして外断熱工法の危険性が露呈した建物を実際に見に行ったのですが、
まだお引渡しして5年も経っていないのに、外壁がボロボロになっており、
その建物は明らかにおかしな表情を見せていました。

外断熱は、施工精度が問題で、施工を間違えると建物の東面と南面の外壁が
まずいことになる、と教えていただきました。

そしてそのお宅を建てた住宅会社さんは、2年前に倒産しており、
お客様はクレームとしてではなく、完全なリフォームとして対応しなければなりません。

ですから、補修をしていただくとなれば、全額お客様負担となるわけです。

その補修工事におそらく何百万単位のお金が必要でしょう。

家を建てて、お子様にまだまだお金がかかるご家族の場合、
毎月のローン返済に加え、何百万ものお金を用意することは、難しいです。

だからこそ、住宅を扱う会社は、何があっても存在し続け、
建物に万が一のことがあった場合、対応しなければならないのです。

理論上、とてもすばらしい外断熱工法も、施工がイマイチだと大変なことになってしまいます。
だから、自分たちのつくる家を完璧なモノにするための努力は当然やりながら、
「万が一のことが起こった時も絶対に当社に非があれば対応する」という姿勢が大切だと思います。

会社が存続するためには、当然ながら利益が必要です。

新築を中心にされるのであれば、これくらいの利益率が望ましい・・・。
リフォームを中心にされるのであれば、このくらいの利益率が望ましい・・・。

こうした考え方をいろんな会社さんにお伝えさせていただいていると思います。

家づくりを託して下さったお客様に責任を取り続けるのが、住宅会社としての責任だと思います。

逆にそれが出来なくなることが、最大のご迷惑だと思います。

ご迷惑をおかけしないためにも、事業を継続させなければなりません。
そのために、適正な利益を頂戴しなければならない、ということを
是非とも理解していただきたいのです。

皆さんは利益について、ちゃんとした考え方を持つことが出来ていますか?
コメント
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