大学を卒業後、建築資材メーカーに入社した私は、
北海道の旭川営業所と北見営業所という2つの拠点で
仕事をさせていただいておりました。
旭川は北海道第二の都市であり、
旭川営業所にはたくさんの社員さんがいましたが、
北見市は人口が当時10万人程度、
しかもエリア内全部合わせても人口20万人に満たなかったため、
営業所には事務員さんを含めても8名しかいませんでした。
メーカーの営業マンの仕事は、
お客様を訪問して商品を売り込み、
見積をさせていただいて受注させていただき、
発注し、売上金の回収、というのが基本ですが、
北見営業所時代は、スタッフがいなかったため、
クレーム発生時の現場調査や不具合品の回収、
更には施主様宅まで行って事情を説明したり、
場合によっては施工までするなど、
本当に何でもやらなくてはならない環境でした。
札幌とか旭川だと、クレーム対応や施工部隊もあったのですが、
北見は全て自分がやらなくてはならなかったのです。
更に当時、購入していただける販売店様や工務店様の監督は、
面倒なことを全てメーカー側に丸投げしてくる方が多く、
私が勤めていた会社は、後発でシェアが低いため、
それを受けなければ、受注が非常に難しい状況だったのです。
不安定な足場をキッチンを担いで上がったりとか、
洗面化粧台が入らない現場では
自社の洗面を分解して搬入後、組み立てるなど、
何でもやっていました。
もちろん、見積や発注業務、請求書のチェックや
会議の資料作成などもやりながら、です。
なので朝7時30分~夜中1時過ぎまで仕事をしなければ、
仕事が終わらない環境の中で20代を過ごしました。
でもこの経験があったから、
コンサル転職してすぐの修業中の時に、
圧倒的な量をこなすことができました。
旭川や北見で、建築現場にほぼ毎日行っていて、
そこで大工さんたちにいろんなことを教えていただいたおかげで、
構造や断熱・気密、それから施工のことまで
いろいろと教えていただきました。
私が住宅の構造や断熱気密換気に詳しいのは、
この時の経験が非常に活きているのです。
いろんな業務をそれぞれの部署担当者に依頼すると
滞りなく業務が回るような、
恵まれた環境で若いうちに仕事をした場合、
現場の細かな知識であったり、泥臭くやり抜く力などが
自分のモノにならないかもしれない、と思ったりします。
若い頃に楽をすると、40代を超えた時、
それなりのポジションで仕事をしなくてはならない場合、
役職に対し、実力と経験や不足していることが露呈されるかもしれません。
昨日、お伺いしていたクライアント様の次期社長。
未経験で会社に入られ、一から建築を勉強し、
営業も現場管理も積算もクレーム対応も、
それからポスティングやチラシ作りなど、
本当にいろんなことをやらざるを得ない環境でしたが、
この2~3年で本当に力をつけられました。
スキルだけでなく、人としても成長され、
次のステージに移行できるレベルになられました。
任せられる優秀なスタッフがいなかった分、
全て自分でチェックしたりしなくてはなりませんでしたが、
その経験が今に成長につながっておられます。
若いうちに苦労したことは、後々活きるのです。
だから今、あまり恵まれていない環境で
もしあなたが仕事をしているとしら、
実はよい環境なのかもしれないのです。
今の環境の中で、ベストを尽くしたいものです。