2021年1月1日 中国新聞「広場 特集 新年どんな年に」掲載
核兵器禁止条約が22日に発効する。開発から使用まで一切を全面禁止するという画期的な条約だ。それは被爆者をはじめ世界中の人の願いに一致する。
「生きているうちに廃絶を見届けることは難しそうだが、条約は困難な将来を照らす光」。紙面で読んだこの被爆者の声は、被爆国の人間としては誰もがうなずけるのではないか。
だが、日本はこの条約に署名していない。為政者は「唯一の被爆国としてリーダーシップをとって核廃絶に努める」と選挙では発する。しかしその後は核兵器保有国とそうでない国の橋渡しをすると繰り返しているが、成果は出ていない。
報道で知る限り、保有国は現在も核兵器の進化に取り組んでいるように見える。毒ガスや地雷についてはその使用禁止条約が発効し、各国が対応を進めている。軍拡競争ではなく軍縮こそが、世界平和への最短の道だと思う。今年が核兵器廃絶ヘー歩を踏み出す年となることを願っている。