
ある待合室で無人のベンチ式椅子で順番を待っていた。ふと横の柱に掛けられた消火器が目に付いた。あのピンを抜いて、ホースを伸ばし火元へ向け、レバーを握って消火剤を放射する。実際の火災現場で使用した経験はないが、訓練で何度も経験、ある時は炎に向けて消火する訓練もあった。そんなことを思い出しながらかけられた消火器を見ていて気づいた。
そこには使用方法などが文字とイラストで記されている。それを見ながら、発災の混乱した中で、小さな文字で記された使用方法を確認し、正しく火元に放射出来るだろうか、そんな疑問を持った。消火器が掛けてある柱に使用法を書いた掲示板を貼れば、消火器の位置もわかるし、使い方も手に取って確認できるのでは、そんなことを思った。
最近の火災現場のニュース映像では、スマホなどで撮られた火災発生直後、消防車両も到着していない発災直後の状況が映される。発生直後にどう行動すればよいのかという周囲の人らの動きから学べることがある。向かいの家が火災の時、そこの住人が煙の満ちた家に入ろうとされるのを必死で連れ戻したことを思い出す。
「ドロボウは家だけは残す」、これは祖母が火の後始末の大切さを話すときのたとえ話。火事は家も家具もすべて無くする、が、その続きになる。火災の怖さは何度か経験したが、消火するより火を出さないことが肝心だ。マッチは使わなくなったが、マッチ一本火事のもと、分かりやすい戒めに思う。
(今日の575) 火の元に気をつけいれば火事はなし