観光客誘致のひと項目である城下町という地域を歩いているといろいろ発見がある。そのひつ、今なら盛り土の壁はコンクリートとなるだろうが、その昔は石垣、城ほどではないが、四角な切り石を、定規で計ったように積み上げた石垣がある。重機ではなくミツマタとチェンブロを使って石を持ち上げ積み重ねたと思う。
その継ぎ目はピッタリと接しており隙間という空きは年月が過ぎたためか見えない。そんな石の隙間に苔が何カ所も生えている。その苔にどこからやって来たのか野草が根付いている。人がわざわざこうしたことはしないだろうから、自然のめぐり合わせで生した野草の力だろう。
城下町、などという呼び方をそこに住んでいる若い人が嫌う、年配者から愚痴っぽく聞いたことがある。両方の言い分はなんとなくわかる。都会の人らが田舎とか地方の村や町、などと屈託なくマイクに向かって話すのを聞くと、その内容によっては同じような気持ちを持つ。それぞれにいいところはあるのだが、口にするときは気づいていないのだろう。
古い街並みを保存・存続させる運動は自治体を中心に活発だ。表に出るその目的は観光資源としての保存のように思える。観光地のオーバーツーリズムが論じられているが、国内観光客でも、保存対象とならい家屋や近隣住民の中には困る人もある。一例だが通りに面した側の窓は年中締め切ったままという。野草がやって来るそんな街並みはどうだろう。
(今日の575) 城下町昔の知恵を引き出そう