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愛と幻想のファシズム(下) を読んだ。 下巻はフィクション性が強いです。

2011年01月31日 23時43分14秒 | 読書評
愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)
村上 龍
講談社

愛と幻想のファシズム(下)を読んだ。

上巻と違って、結構ゆっくりと読んだ。
下巻は、主人公トウジが狩猟社の代表として、自らダミークーデーターを企て
それを沈静化し、カリスマへと猛進する。

上巻がゆっくりとしたストーリー展開から速い展開へと進む。
政治色が強い内容かというとそこはフィクションなので、読み手へ
ストーリーへの引き込みが次から次へと描写される。

筆者は、この小説で、日本の閉塞感を描きたかったとあるが、
経済恐慌、アメリカ、ソ連の属国化が背景として描かれそれに対し
関税対象を広げ貿易を打ち切るような動きを描き、諸国とのつながりを
絶つところは、現実と対比させると違和感もある。

登場人物の心理描写としての閉塞感。
トウジ、ゼロのもつ対人心理というものについて閉塞感という風に
捉えれば、わからなくもないが、その閉塞感が登場人物の特性への依存
が強いところがあり、今ひとつ共感できる部分がピンとこなかった。

全体としては、現代社会のひとつの反面教師のような部分があり
個人的には面白い小説だと思う。

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