![]() | 風の中のマリア (講談社文庫) |
百田 尚樹 | |
講談社 |
風の中のマリア を読みました。
弱肉強食の昆虫の世界を人間の目を通して描いた面白い作品でした。
ストーリーは、単純明快。展開も自然の利に即して書いてあるので
すんなりと読めます。
オオススメバチのワーカー マリア がこの世に生を受けて、成長し
日々を重ねていくうちに出くわす、生死をかけた試練が読み手をひきつけます。
ただ、ただ戦って狩をすることが使命のマリア
他の昆虫は、子孫を残すために生きているのに対し、マリアの日々は
狩をし、姉妹たちを食べさせ育てるためのもの。
自ら子孫を残すことができない疑問に対し、その思いに折り合いをつけて
日々を戦いに明け暮れるマリアのせつなさは、人間社会に置き換えても
共感できるところがあります。
最後は、自分の寿命と、オオススメバチの帝国の運命を感じとりながら
戦う姿は、人間の歴史にも当てはまるような様子があります。
オオススメバチと人間の世界とを対比させるような作者の視点が面白いなと
思いました。