発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

クラムボンは笑ったよ

2016年06月16日 | 本について
 宮沢賢治といえば、「やまなし」。小学校の教科書に載ってた。
 黙読し、音読して、透明な水の底を感じるのである。この世には、奇跡のように美しい事象が、普通に溢れている。それを文字にして書きあらわすことができるということを知った作品である。
 こんな課題を、国語は自動的に担任が担当する小学校の教科書に載せていいものか、と思わないでもない。指導する人は絞られるべきである。「指導」にはそぐわないということをちゃんとわかっている、という意味での優秀な人が指導するのが望ましい。そして、ペーパーテストには不向きである。
 これは、感じるものであって、感じ方というのは評価するのには不向きだし、感じ方を採点されてその結果を気にする子どもや、その結果を気にして、子どもにフィードバックしてしまう親だった場合、「自分の思うように感じていい、という感性」「自分が感じたことこそ自分の正解という考え」が、損なわれ、それが欠落した人生を送ってしまうかも知れないのである。
 という危険なテーマだと私は勝手に思っているのだが、あまりにも美しいので教科書には載り続けている。

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