『月形洗蔵 薩長連合その先駆者の生涯 』
元治元年十月、筑前藩主黒田長溥による長州周旋の続行が決まる。長溥は月形に対長州工作の指揮を命じ、それは後の薩摩長州連合の嚆矢となる。三条実美ら尊攘五卿、高杉晋作、西郷隆盛、木戸孝允、土方久元、中岡慎太郎、早川勇、渡辺昇、野村望東尼ら多くの人々との関わりにより全ての礎となるも、慶応元年の「乙丑の獄」により筑前勤皇党は壊滅、月形は謹慎、九月入牢、十月に斬首となる。「薩長連合」の正史を知る一冊。
A5判 上製 304頁+巻頭カラー口絵
ISBN978-4-901346-68-9 定価 本体3,000円+消費税
令和3年2月より、順次配本開始。
もう12年になるのか。小社「九州文化図録撰書(街道シリーズ)」の『筑前維新の道』を上梓したのは。当時から「幕末から明治維新の話に、なぜ長州や薩摩でなく福岡?」と言われることは少なくなかった。薩長連合のためにどんなに筑前の人々が尽力したかを知っておいて欲しい。その後、花乱社から、谷川佳枝子氏による『野村望東尼』を出版。また、太宰府天満宮宝物殿で太宰府幕末展が開催され、それにつれて、徐々に売れていった。
京都の二度の政変で決定的になった長州薩摩の間の亀裂を修復しようと尽力したのは筑前藩主の命で行動した月形洗蔵を中心とする筑前勤皇党の藩士たちである。
この本は福岡に軸足を置いて活動した月形洗蔵を中心に追った伝記である。膨大な一次資料を分析して執筆された力作である。巻末の年表で月形に関わる人々と動向を見ていただくだけで、並みではない努力を読み取っていただけると思う。また、巻頭のカラー口絵で、関連文書や絵画、現代の遺構の写真などを紹介しているので併せてご覧いただきたい。
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