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130億歳の星、その寿命は、500億歳。

2005-04-14 10:58:55 | 科学
130億歳=銀河系最古の星、国立天文台などが発見 (読売新聞) - goo ニュース

130億歳、宇宙誕生初期の星を発見 国立天文台など (朝日新聞) - goo ニュース

この2つの記事を読むと、ほぼ同じことが書いてある(当然か)と見える。

しかし、朝日のタイトルは、誤解を生む。
本文はそうなっているが、「宇宙誕生初期の星」ではなく、「宇宙誕生初期に生まれた星」
宇宙誕生初期の星=そのころ出来た若い星、ものすごく遠くにある星
宇宙誕生初期に生まれた星=その頃生まれ今も生きているものすごく古い星

さらに内容も薀蓄をひけらかしてはいるが、細かく見るとややずれている。
(例えば、鉄が星の爆発で出来たというのはちょっと?鉄より重い元素はその通り)

読売の方が淡々と正確に書かれていて、また「太陽の0.7倍程度」というところが肝心である。

というのも、よく「宇宙誕生初期の銀河発見」とか言われるのは、
いずれも100億光年以上も遠くのものだ。
仮に、130億光年の遠くだとしよう。
そこから光が地球に届くまで130億年かかる、つまり130億年前の姿が見えているから、
宇宙の年齢を137億年とすると、宇宙誕生から数億年の頃に出来た銀河となる。
あるいは出来て、数億年以内の銀河である。
つまり年齢は数億歳以下と若い(十分長い時間ですけどね)

しかし、今度の星は、130億歳!
しかも、銀河系の中、わずか4000光年の近さ(十分遠いけど)

太陽って50億年程度で死ぬんじゃなかったっけ。
星って130億光年も寿命があるの?

そう思ったあなた。半分合ってます。

実は、星の寿命はその大きさで大体決まる。
まずは、星になるにはある程度の大きさが必要。
あまり小さいと(ざっと太陽の1/10以下)、密度が上がらず、核融合反応が起こらない、
つまり、燃えない=光らない=星にはならない。
しかし、一旦燃え始めると、小さい方がちょろちょろ燃える感じで長持ちするのだ。
でかいと、燃料が沢山あることになるのだが、一気に燃え尽きて逆に短命。

星の重さと寿命の関係は、ざっくり次の通り。

太陽程度のサイズだと約100億年。
(太陽は、今50億歳だから、あと50億年くらい寿命がある)
太陽の2~3倍だと約10億年。
太陽の5倍だと約1億年。
太陽の20倍では、約1千万年。
太陽の100倍では、約300万年。

ところが、太陽の0.7倍だと約500億年。
この星は、まだ寿命の130/500しか経過していない。

なお、鉄は、水素やヘリウムが核融合反応でどんどんと重い元素になっていく最終段階で作られる。
ヘリウム -> 炭素や酸素 -> ネオン、マグネシウム -> 珪素、硫黄、カルシウム
そして、鉄。
核融合反応はこれでおしまい。
後は星の爆発などの超高密高圧の中で生まれる。

この星は鉄が少ないことから、
 核融合が鉄まで進んでいない=星の進化(核融合の寿命)の早い段階にある
 他の星の爆発によって出来た重い元素を含んでいない=最初からあった星
であるといえるのだろう。

ただ、どうして130億歳とわかったのかはよく判らん。
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