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鹿林(ルーリン)彗星の尾は尾か

2009-02-25 00:12:19 | 科学
夜、双眼鏡で東の空を…ルーリン彗星が地球に最接近(読売新聞) - goo ニュース

“2本の尾”を持つ彗星が接近中(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト) - goo ニュース

この記事を読んで不思議に思ったこと。

彗星に尾が2つ見えるのは原理的には当たり前のことで驚くに当たらない、
なのになぜ「2本の尾」とわざわざ“ ”付きで書いているのか。

もう一つは、これも彗星の尾のでき方を知っていれば不思議に思う
「視覚効果」で「尾」が見える、ということ。

まず、なぜ2本の尾が不思議でないのかを書いておこう。

彗星。ほうき星。
大抵の彗星は氷と塵でできている。

太陽から遠く離れているときは、変化なくそのまま、つまり尾もないが、
太陽に近づくにつれ、その熱を受けてガスや塵を噴出する。

ガスは太陽からの影響でイオン化して、太陽と真反対方向に噴出する。

塵は、やはり太陽からの影響で、進行方向とは逆に吹き飛ばされるが、
質量があるため(要は重いから)彗星の軌跡に近く、運動方向によっては、カーブを描く。

こうして、まっすぐに太陽と真反対に噴き出すイオンの尾(イオン・テイル)と
ややカーブしながら、軌道に近く噴き出す塵の尾(ダスト・テイル)ができる。

彗星の組成、軌道の地球との角度、太陽との距離などによって、
尾のでき方は様々で、2本がはっきり区別できることもあれば、
どちらかしか見えないこともあるらしいが、
原理的に2つの尾ができることは確か。

さて、このように彗星に2本の尾があることは全く不思議ではない。
ではなぜ、わざわざ「2本の尾」と書いているのか。

記事によれば、通常彗星の後ろに見える尾が彗星の前方にも見える、という。

前方なら尾じゃないじゃないか。
「視覚効果」による、とは錯覚なのか。

いろいろ記事を探ってみると、別に錯覚ではなく、この2本の尾が、
地球から見て彗星の両側に見えるということのようだ。

それは、
地球の軌道面とルーリン彗星の軌道面のずれが少ないこと、と、
地球が太陽の周りを回る回転方向とルーリン彗星の回転方向が逆、で、
地球から見ると、接近時に見かけ上、イオンテイルが先行し、
ダストテイルが彗星を追う形になり、
地球から見て彗星の両側に尾が出る、と言うことのようだ。

つまり、もともと少しずれて出ている2本の尾を横からではなく、
正面から見ると両側に出ているように見える、ということのようだ。

つまり、見かけ上彗星の前に出ているように見えても、
尾は尾で、実際には後ろに出ているというわけ。
だから、「視覚効果」と言ってんですねぇ。

最初から知っていれば別だが、単独の記事からは理解しづらい。
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