白骨温泉の中心から県道を少し下った先に、観光名所の一つ「竜神の滝」が見えてきました。普通に滝というと頭上高くから落下する瀑布をイメージしますが、こちらはもっと優しい陸の上の渓流といった感じ。
苔むす岩場の上方には、奥の見えない空洞が何処までも続き、幾筋もの水はその奥から絶えず流れ続けています。
現地案内によると「地下水が石灰岩を溶かして鍾乳洞をつくりました。地下水はいまでも無数の穴から白糸の垂れ水となって落下しています。そのありさまは神秘的でさえあります。昔からここに水神が住むと言われ、竜神の滝と呼ばれるようになりました。」
迂闊に奥を覗き込むことが躊躇われる、水神が棲むと言い伝えられてきた空洞。近寄ってはいけない危険な場所には、魔ではなく神が座すと教え、それゆえみだりに近寄ってはならないと教え伝えて来た人々。
苔の褥を濡らして滴り落ちる水は、玉すだれのようにはかなく美しく
時には一直線の激しい水流となって側溝に吸い込まれていきます。
流れ落ちた水は地下を潜り、道路向こうで小さな滝となって岩場を走り抜け
林の木々の根元を潤し、やがて湯川に注ぎ込み、再び戻ってくることはありません。
言葉にならない世界がそこにはあります。非日常そのものの不可思議な風景は、未だに忘れられない記憶となって、懐かしく思い出を綴る私を誘惑し続けるのです。
偶然車で通りかかった方が声をかけて下さって、お言葉に甘えて撮って頂いた二人一緒の大切な記念の一枚。
訪問日:2016年4月23日
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