八剱八幡神社の大蘇鉄の近くに鎮座される「境内社:三社神社」。御祭神は『三峰之大神(伊弉諾尊、伊弉冉尊)』・『御嶽之大神(国常立尊、大己貴命、少彦名命』・『稲荷之大神(宇迦之御魂神)』。稲荷の赤い幟が目立ち過ぎ😅
鳥居を潜り短い参道を進んだ先に、本殿と同じ形式の流れ造りの社殿。ここにもやはり小さな神狐が奉納されているのですが、目を見晴らされたのは社殿彫刻の数々。
社殿の両の扉、それぞれの脇柱に掘り込まれた彫刻は、いずれも神々の歴史を物語る内容で目を見張る壮大さ。 じつはこれらの彫刻をもう一度見たくて、二度目の参拝を計画したと言うのが本音だったのです😅
見え難いですが、千鳥たちに囲まれ怒れる顔で睥睨する龍は、実は小さな龍を引き連れています。 後に知った事ですが、彫刻にあった刻銘には何とあの!『後藤正光斎橘忠明・後藤善司正明』。そう!「龍の義光」の作品を、そうとは知らずに一目惚れして、再度の参拝を果たしたのです。
さらに社殿彫刻の花形的存在、貫彫刻の一対の獅子は、それぞれに牡丹を口に銜えています。 貫柱の獅子にも阿吽があるのですが、ここでは牡丹の花で阿吽を現しています。と書いていて・・花が見当たらない事に気がつきました。きっと阿形さんの牡丹は満開になりすぎて散ってしまったのでしょう😔
社殿彫刻は左右から後方にも刻まれており、場所的に近づき難く、かなり苦労しました。 が、その苦労は十二分に報われて、見事な彫刻の隅々までを堪能することが出来ました。
社殿正面に向かって左の壁部分には「櫛名田比売を助ける為に、大蛇退治をする素戔男尊」。
社殿正面に向かって右の壁部分には、まばゆい光の中で「天岩戸から出現される天照大神」。 後光の大きさが半端じゃ有りません。
社殿の背面には、炎に包まれる中「草薙の剣で草をなぎ払う日本武尊」の様子が刻まれています。 これらの彫刻をもう一度自分の目で見たくて・・・ああ、本当に再訪した甲斐がありました。
この小さな彫刻は、やはり社殿のどこかにあったもので「荒波を進む五大力船」。
彫刻はもちろん最高ですが、社殿前を守護される大正10年7月9日建立の狛犬さんも、とっても良い表情。 ちょっと生意気そうな顔で参拝者を迎える姿が何とも微笑ましく、ついつい語り掛けたくなる。
同じ敷地内にあった小さな石の祠には、どのような神が祀られているのでしょうか? 壁面には虎退治をする武人の姿が刻まれています。
でも私には、悪戯をした虎のお尻を叩いている人に見えて仕方がありません😊 多分、兄弟虎で面白がって何か悪さをして、それを見た飼い主がお仕置きをしているのです。
今回は木の茂みに邪魔されて見えませんでしたが、幸いにも5年前の画像が、その様子を捉えていました。 ほらね、虎の顔が笑ってますよ。
こちらは境内入り口近くにあった土蔵造の「祖神社」。御祭神は『屋船久久能知神(やふねくくのちのかみ)・屋船豊受姫神(やふねとようけひめのかみ)・手置帆負神(たおきほおいのかみ)・彦狭知神(ひこさしりのかみ)』。あまり馴染みの無い神々ですが、棟上げ式で読み上げる祝詞の中に「工匠の祖神・殖産興業の神」として登場されます。
ここの懸魚も素晴らしいのですが、向背の龍・・・実はこれも『後藤正光斎橘忠明』の彫刻でした。 知らずに一目惚れし、それが名工の作と知ったからといって、特別評価が変わる訳ではありません。 それでも、彫刻の数々が実は評価されている作品だと知るのは、無条件に嬉しく思えます。
貫には、厳しい表情を見せながらも妙に人懐こい表情を浮かべた獅子が見下ろしています。 獅子を彫った宮彫師が何処の誰なのかわかりませんが、向背の龍と共にお気に入りの一対です。
「祖神社」の隣には、明治14年(1881)に建立された「嶺田楓江(みねだふうこう)寿碑」。 『嶺田楓江』は江戸出身の儒・蘭学者で、鎖国下にあって時勢を的確に捉えていた人物です。 題字は英国領事館の『コラウブス』、撰文は地元の『重城(じゅうじょう)保』、書は清国の『劉世安』。生憎と無知で三方がどのような功績を残されたかはわかりませんが、この三国合作によって建立された碑は、昭和44年に指定文化財になりました。
昨日のブログで少し触れた「八剱八幡神社」の絵馬、なんともう一枚には「鳳神ヤツルギ」。「鳳神ヤツルギ」メンバーは、千葉テレビの特撮ドラマに登場する木更津市ご当地ヒーロー。「八剱八幡神社」の祭神の力で変身します!😲!
そういえば神社の入り口向かいに、鳳神ヤツルギの一人『天神キサラ』の自販機もありました。 八幡神はこの国を異国の攻撃から守るために大活躍をされました。そして新たに誕生した、悪と戦う変身ヒーローたち。綺麗ごとの自虐的平和なんて言葉に惑わされる事無く、みなさん、頑張ってこの国を守って下さいね。
参拝日:2014年5月26日&2019年3月5日
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御神名一口メモ
『屋船久久能知神(やふねくくのちのかみ)』『屋船豊受姫神(やふねとようけひめのかみ)』、神生みによって生まれた木の神。家屋の神
『手置帆負神(たおきほおいのかみ)』、岩戸隠れの際、木を伐り、瑞殿(みずのみあらか)という御殿を造った。工匠(大工)の守り神。
『彦狭知神(ひこさしりのかみ)』、岩戸隠れの際、木を伐り、瑞殿(みずのみあらか)という御殿を造った。土木、建築の神。