2022年も今日で終わり。明日からまた新しい一年が始まります。新しい年を迎えるという事は老いに近づく一歩。悔しいけれど確実に一つ・・また一つ、体は脆くなっていくように思います。
この一年を振り返って何を思うと問われれば、それはいつも・・あの愛おしく切ない日々。4月も終わりに近い晴れた朝、かけがえのない大切な存在を失ったあの春の日の・・あの言葉にしがたい絶望の瞬間。幾日も幾日も・・癒える時など無いと思えた深い悲しみの日々・・・・・・
けれど、そんな耐え難い日々でさえ、「愛しい思い出」という名の優しさに変えていく・・時間と言う名の魔法。
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財産も無い、もちろん地位も名誉も無い、心身共に健康!・・とは言い難いけど、気力だけは充分ある。辛さを分け合える友もいる。コロナ過のせいでちっとも会えなくなったけど、毎日欠かさず電話をくれる仲良しの義姉もいる。
「生きていればそれだけで幸せ♪ 小さな我が家で二人と一匹、一緒に生きていけるなら、もうそれだけで充分。」
車泊旅は出来なくなったけど、ブログに綴る思い出はこの先何年かかっても書ききれない程あるしね。だからパソコンに向かえなくなるまで書き続けて、そうして更に年老いて書けなくなったら、それを読み返して過ぎた昔を一緒に懐かしがろうよね。
そうそう、いつもいつも車泊のたびに長い日数を留守番させていたお前とも、ずっと、ベ~ッタリ!!一緒に居るからね。ウソじゃないよ!ホント!本当だからぁ~!
今でもはっきり覚えている・・お前が初めて我が家に来たのは、あれは2007年7月の朝の事。出勤したはずのお父さんが、数分後に玄関に立って「ハイ!」と差し出した両手の中に小さなお前がうずくまっていた事を。
カラスに追われて駐車場の車の下で震えていたという小さな子猫。キッチンの網戸から見えたお外に向かって、必死に鳴き始めた小さな小さな子猫。
子猫の声を聞きつけて一度だけ母猫が来たけれど、私の姿を見て、必死に泣く子猫を見て、もう一度私の顔を見上げて・・そのまま立ち去ってしまった。 ねぇ、私、お前の母さんに託されちゃったよ。鳴き続ける子猫を抱き上げると、必死にしがみ付いて・・それから部屋の片隅のキャットフードを見つけ、体半分突っ込みながら必死に食べはじめた。
我が家には既に二匹の可愛い娘たちがいるけれど、姿を見てしまったら、一度手に抱いてしまったら・・答えはおのずと決まっている。
そうして代々継承してきた名前の一文字を入れて我が家の一員になり、翌日病院に。その日からさっそく、処方された目薬&シリンジでの投薬開始。
何をされてもじっと我慢して、終わったら、お母さんの手にスリスリして、お母さんが抱き枕にしているぬいぐるみにもたれて眠る・・思い出すだけで顔がにやけてしまうくらい、小さな小さな可愛いお前。
お前が家族に加わって賑やかになった我が家の暮らし。よせばいいのに、ついつい調子に乗ってお姉ちゃん猫にちょっかいを出し、たまにきつ~~~~い!お仕置きパンチをされたり(笑)
大先輩のお姉ちゃん猫に、ご飯の催促の仕方を教えて貰ったり、もちろんお食事時のマナーも(*^^*)
お気に入りのおもちゃは、可愛らしさに一目ぼれして買ってもらった大事な私の!(笑)ホワッツマイケル(猫漫画の主役)の手(^^;)
誰かがわざと手を伸ばすと、慌てて専用のおもちゃ箱まで運んで一緒に隠れてる・・つもり(笑)
毎日、毎日が当たり前に過ぎていった二年後の2009年、キジ柄のお姉ちゃん猫が逝って、その翌年、ふわふわ毛のお姉ちゃん猫も逝ってしまった・・・
以来、お前は超絶な甘えっ子に変身。そうして「いつどんな時でも、ふりかえれば私の側にはお前がいる」。入浴中の浴槽に飛び込んできた時は流石に慌てふためいたものだけど、お前と来たらケロッとして機嫌よく浮かんでるものだから、私の叫び声に飛んできたお父さんも大笑い(笑) 以来、お風呂の蓋は三分の一だけ開けての入浴・・随分と長い事続いたねぇ。
好奇心旺盛で、動物が登場するビデオが大好きで、何時までも画面の前から離れなかったっけ。それからお刺身が大好物で、何時もちょっとしか貰えないんだけど、それでも一生懸命背伸びして、お父さんの側にべったり。
私が寝込んだら、どんなに暑い夏の日でも側に来て一緒に寝てくれた可愛いお前。車泊旅が出来なくなってから殆ど家で過ごしているものだから、お前はいつもご機嫌で夏でも冬でも私の腕を占領して、お陰で腕は汗疹だらけ。
お前がうちの仔になってから14年と7か月と14日。その翌日もずっとそんな風に暮らしていくって、これっぽっちも疑ってなかった。 なのに・・何でだろう?虫が知らせたのかなぁ・・・・三月のあの日、何となく様子が変な気がして、念の為にと獣医に見て貰ったら「変性漏出液で水を抜いても一時しのぎにしかならない。治療は無駄です」って・・・・、あの瞬間・・何を聞き何と答えたのか・・ああ、よく思い出せないけど、頭の中で否定の言葉だけが渦巻いてた。
何で?!どうして?!えっ??いやだってそんなのおかしい。普通に食事だってしてるのに、それなのに「余命は一週間か・・二週間でしょう」って・・そんなの、そんなの絶対におかしい!!嘘? 嘘でしょ?・・ねぇ、誰でもいい、悪い冗談だって・・
泣いて、泣いてお前を抱きしめて泣き明かした夜が明けて・・。側にいた筈のお前の姿が見えなくて、青くなって探したら、自力で二階にあがって、お日様が一杯の畳の上で日向ぼっこをしていてさ。あの時は本当に・・死ぬほど焦ったよ (>_< )
でもお前・・そこ好きだったもんね。そうしてお父さんと私は、日が陰るまでずっとお前の側にいて、気持ちよさそうに横になって眠るお前を見ていた。やがて横になって眠れなくなる事を・・医師に告げられていたから。
宣告を受けたあの時から40日と4日、獣医の宣告を跳ね返して、お前は私たちの側で一生懸命生きてくれた。ほんの僅かでも食べ物を欲しがってくれたら、もうそれだけで大喜びして。何でもいい・・お前が望むものを、お前が口に出来るものを誂えて、夜も昼もお前の側に寄り添って・・少しずつ確実に細くなってゆく命の火を、私はただ・・お前を愛おしむ事だけ考えて、そうしてこの一日が明日に繋がるようにと、神にも仏にもすがる思いで見続けてきたのに。
お前が私たちの最期の子供になって14年と8か月と4日・・最後の4日間は何も口にせずただ私たちの側にいてくれた。あの朝、突然苦しみだしたお前を支える私の手の中で・・その最後の鼓動が止まった・・あの瞬間の言葉にならない絶望・・・私はお前の眼を閉じ、口を閉じ、そうして言葉を無くしたまま、動かなくなったお前をずっと抱きしめていた。
真夜中に、ふと気配に気が付いて隣りを見たら私の横にぴったりと寄り添うようにお前がいて・・・ああ・・あれはきっとお前からの最期の贈り物だったんだね・・・
そんな事を思い出した瞬間・・・喉の奥から悲鳴のような声が出て・・そうやって泣き叫ぶことが出来た時、もしかしたらもう一度鳴き声を聞かせてくれるんじゃないかと馬鹿な事を考えてね・・・お前の名前を何度も何度も呼んで、まだ温かいお前の体を抱きしめて頬ずりして・・
ひたすらに生きてくれたお前が旅だった朝、塀はモッコウバラの黄色で埋め尽くされてて。お前の小さな棺を飾るためにと手を伸ばせば、まるでお前の旅立ちがわかったみたいに、淡いクリーム色の花びらはハラハラと手の先からこぼれ落ちて・・私と一緒に泣くんだよ。
お前を見送った翌日、お前が大好きだったチロリアンランプの花が、狂ったように一斉に咲いたよ。今までこんなに一度に咲いた事なんて無かったのに・・・真っ赤な涙を流してお前がいなくなったことを嘆いてくれた。
2022年も今日で終わる。ねぇ、お母さんはお父さんと一緒に、これまで通り、毎日毎日、一生懸命に前を向いて生きていく。お前がいなくなった悲しさは、まだちっとも薄れないけれど、それでもお前に約束する。この先もずっと、しっかり前を向いて、お前に負けないように頑張って生きていくよって。
二人そろって病院と仲良しになったけど、お前の側に行くのはまだずっと先だからね。ちゃんとお姉ちゃん猫たちと一緒に仲良く待っててね。そうそう、お前は知らないだろうけど、お前が来る前の年に向こうに逝ったお兄ちゃん猫は、そりゃぁ面倒見が良くて男前でね。だからすっごく頼りにして良いからね。
ああ・・・きっと今頃は、みんな揃って下界を見ながら楽しくやってるんだろうな。
「時という偉大な力は、どんなに辛くて悲しい日々も思い出という優しさに変えてくれる」・・人の力ではどうする事も出来ない時のお母さんのおまじない。ねぇ、お母さんはこれからも今まで通り、小さな庭に咲く花たちの世話をしながら、かわり映えのしない毎日を送って・・そうして多分、一つ一つ咲いた花を見るたびにお前たちの事を思い出すよ。
今日が終わって新しいカレンダーに変わったら、またいつも通り、何事も無かったような顔をして、マンホールやら神社やら、素敵な旅の思い出を毎日せっせと綴ってゆく。
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拙いブログですが、一年間のお付き合い、有難うございました。
迎える新しい年がより美しきものでありますように。
2022年 大晦日