メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

Red

2020年02月21日 | 映画
Red
を観ました。


大雪の夜、車を走らせる男と女。
先が見えない一夜の道行きは、ふたりの関係そのものだった。
誰もがうらやむ夫、かわいい娘、“何も問題のない生活”を過ごしていた、はずだった塔子。
10年ぶりに、かつて愛した男・鞍田に再会する。
鞍田は、ずっと行き場のなかった塔子の気持ちを、少しずつ、少しずつほどいていく…。
しかし、鞍田には“秘密”があった。
現在と過去が交錯しながら向かう先の、誰も想像しなかった塔子の“決断”とは――。
映画オリジナルの愛の行方、その結末に、切なく、心揺さぶられる。


三島有紀子監督です。
かなり好みの方の監督です。

明るい作品と暗い作品がありますが今作は観て明らかに暗い方ですね。

冒頭は意味深で謎めいて何か事情がある空気プンプンの男女がセリフもなく大雪の中ドライブしているという始まりです。
なかなかの時間、セリフなしでドアップだったり情景描写だったりで引っ張って。
一体何事?って気持ちを引っ張られます。

三島有紀子作品はハイセンス系なので説明はかなり少なめで場面場面が何なのか?察する能力が必要です。
冒頭の謎めいたシーンから恐らく過去に遡ったな、ってなるような展開で。

典型的な玉の輿みたいな、お金持ちの家柄が良いところに嫁いで窮屈に暮らしている感じの主人公。
かつての恋人と思われる男と再会していきなりおっぱじまるという。
説明描写がなくいきなり展開することが多くそこに非常に作風が出ています。
結構典型的なインディペンデント系な作風でかなりアーティスティックで叙情的な映画でした。

ストーリーはそこまで特殊ではなくいわゆる現実逃避的な、不倫的な逃避行で。
とかくお金持ち一家の描写は結構なステレオタイプでわかりやすい分チープにも見えました。

吹雪の雪国の駆け落ちみたいな逃避行みたいな旅の旅情、破滅感はとても良いですね。
セリフもほとんど無いのにかなり禁断の状況だということが伝わるかなり演歌的な世界観でした。

普通の仕事シーンの描写がなかなかリアルで作品全体に良い生活感みたいな生々しい空気感が漂っているのは流石でした。
金持ち家族の描写ですらなんかリアルな空気感を感じました。
大した罪悪感もなく妻の料理を食べずに母の料理を食べる感じはこういう金持ち家族特有な描写ですが、セリフもなく家庭の雰囲気や力関係を上手に見せていたと思います。

今作の一番の特徴を言うならば塗れ場ですね、特にキスです。
こんなに濃厚で長尺なキスシーンは邦画史上でも最高峰だったかも知れません。
もう相手を食べちゃいそうな、お互いの舌を吸いあうような、役者魂炸裂な感じでした。

主演の夏帆は年々本格派になってきていますが今作も素晴らしかったですね。
なかなか体当たりな濡れ場も近年増えてきましたが、今作もなかなかですね。
SっぽいキャラもハイレベルでやるのにMっぽいキャラもかなりハイレベルで凄いと思います。
この両方いけて体当たりできる女優はかなり稀有だと思います。
自分は今作みたいにもじもじな夏帆は大好きですね。

妻夫木聡が無感情で謎めいた男で、女を破滅させるような典型的なキャラでした。
ハンサムで空気感もある演技派なのでかなり妥当な仕上がりです。
ルックスも演技も良くて大抵の役に妥当に収まりますね。

間宮祥太朗が夏帆の旦那役でしたが、典型的な妻を拘束するお金持ち夫って感じでした。
古くてステレオタイプな女性蔑視、亭主関白、母の言うことはよく聞くな振る舞いはなかなかストレスでした。
この手の男は結構感情的で厄介なパターンが多いですが、この人もなかなかクールでそれが良かったです。

柄本佑が夏帆の同僚ですがなかなか重要な役どころでした。
かなり軽薄なチャラい男ですが、歪んだ登場人物の中では一番観客に近い感情を持って納得の発言をしていました。
この作品のメッセージ性を意外と一番言葉にしてた気がします。

自分がイメージする三島有紀子らしい作品でハイセンス系で嫌いじゃなかったです。
とにかく激愛ですね。


そんなわけで6点。
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