愛しのアイリーン
を観ました。
一世一代の恋に玉砕し、家を飛び出した42歳のダメ男・宍戸岩男(安田顕)はフィリピンにいた。
コツコツ貯めた300万円をはたいて嫁探しツアーに参加したのだ。
30人もの現地女性と次々に面会してパニック状態の岩男は、半ば自棄になって相手を決めてしまう。
それが貧しい漁村に生まれたフィリピーナ、アイリーン(ナッツ・シトイ)だった。岩男がとつぜん家を空けてから二週間。
久方ぶりの帰省を果たすと、父の源造(品川徹)は亡くなり、実家はまさに葬儀の只中だった。
ざわつく参列者たちの目に映ったのは異国の少女・アイリーン。
これまで恋愛も知らずに生きてきた大事な一人息子が、見ず知らずのフィリピーナを嫁にもらったと聞いて激昂するツル(木野花)。
ついには猟銃を持ち出し、その鈍く光る銃口がアイリーンへ……!
毎度相当高評価な吉田恵輔監督作品です。
前情報無しで観に行ったので、実際は誰の作品か知らずに見ていましたが。
人生で見た中でも相当印象に残る、トラウマになるほど辛い映画でした。
ハイセンス系な映画らしく、一人客がほとんどな印象の劇場でしたが終盤は場内涙涙でした。
そういう映画上級者を泣かす非常にハイレベルな映画だと思います。
日本の田舎町で結婚できない40代の男の扱い、街中で腫れ物扱いされる。
両親も息子の結婚を願ってやまない。
そしてフィリピンの貧しい層の女性を日本のモテない人々が買う。
そんな闇の斡旋をする仲介者たち。
そんなアジアに現代も実際にあるであろう闇を辛辣に扱っています。
不健全ながらもこういう需要と供給が成立してしまう世界、ただそこにある心はとても傷ついている。
こんな難しいテーマを最高のクオリティで描いています。
日本語も喋れず家族と引き離され日本に連れてこられ愛せない夫との暮らし。
まるで子供のように日本の文化もわからない。
ただバカではなく冷静に日本人の悪さも理解している。
言葉は悪いですが、日本の田舎の人々は容赦ないので、家畜のような扱いをされます。
フィリピンに帰りたい!って泣いてるシーンとかもう胸が引き裂かれそうに辛かったです。
絶望的な家庭環境でも必死に日々を生きるフィリピン女性、多少日本語も覚えるようになって冬の雪の中で必死に家事をして暮らす姿。
おしんの進化版な辛さです。
過激に衝突する母と息子、ふたりともかなりの狂気ですがとかく母親が狂気です。
どうしてもフィリピンから来た嫁を認められず最悪の選択をして更に最悪の事態に。
それをきっかけに不思議と二人に愛が芽生えうまくいくかと思いきや・・・。
今度は息子の方も狂気に染まってしまい精神不安定がすごくて。
序盤は、ちょっと描写が過激すぎるな、、、こんなにヒステリックに過激に描かなくてもいいのに、、、
みたいな気分もありましたが、終盤にその感想が間違っていたことを自覚。
序盤から過激に描いていたからこそ終盤はもう涙を止められませんでした。
ともすればコメディにも思われそうな序盤の過激さですが、その絶叫し続けるような演出はどれだけ深い愛情表現だったかって感じで。
こんなに”オマ○コ”ってセリフが多い映画はかつてなかったでしょう。
連呼しまくりでした。
主演の安田顕はこの手の悲しい孤独な中年男を演じさせると絶品ですね。
ガサツで汚くてズルくてクズで性欲強くて。
それでも表現しきれないマグマのような愛を抱えていて、クライマックスはめちゃくちゃ切なかったですね。
ヤクザに追われる恐怖感の表現とかもエグかったですね。
ナッツ・シトイはもちろん初めて見ましたが、この作品で日本のトップスターになってもおかしくないくらいのクオリティです。
カメ止俳優たちが多少ブレイクしているならばこの子はもっとブレイクする資格があります。
どこまでわざとかなのかはわかりませんが片言の日本語やら日本に馴染めない表現のクオリティがエグかったです。
めちゃくちゃ健気で良い子なのに、お金で買われた自分に苦悩する姿やフィリピンの家族に会いたがる姿は今思い出しても泣きそうです。
子供みたいに喜怒哀楽を表現してルックス以上にめちゃくちゃかわいかったです。
体当たり演技も素晴らしかったし、泣きの演技も最高でした。
絶望的な姑との関係がもうクライマックスには呼吸困難になりそうなくらい泣けました。
もう来年の主演女優賞はダントツでこの子だと思います。
この子を基準にするとライバルすら見当たらないので他の候補者いらないくらいですね。
木野花さんは名脇役的であちこちで上手い演技してますが特に意識したことはなかったですが半端ないです!
狂気の演技、まさに怪演ってやつですね。
ためらいなくプッツンしたヒステリックお母さん、息子の毎晩のオナニーをのぞき見する価値観。
なぜに息子にこんなに執着しているのか?狂ってると思いますが終盤にはそれも回収され見事でした。
もうこの人も悲しくて悲しくて。
やはり来年の助演女優賞はダントツで木野花さんでしょう、これを超える演技が出てくることは予想し難いです。
冷たい熱帯魚で急にでんでんさんがすごい役者だ、って世間の見る目が変わった時と同じ衝撃でした。
伊勢谷友介がフィリピンと日本のハーフな出生のヤクザで、今作の中では悪役というような役どころですが。
実は一番正しいことを言っている要素もあり、そもそも主人公たちが悪人かも知れず。
勧善懲悪では全然片付けられない深い物語の象徴でした。
河井青葉は僕が高評価する映画によく出てきます。
美人ですが美人すぎず影のある感じの女性を実にうまく演じます。
今作でも表裏がすごくて、男を狂わせる役どころで。
実はこの人が諸々のきっかけになってる感じが強いです。
福士誠治がアイリーンが頼るお坊さん役で。
この作品で唯一のまとも人間って感じで良いスパイスでした。
品川徹が認知症でありながら時々まともで。
認知症なのか違うのか難しい演技を見事にこなしていました。
かなり衝撃的だし切なくて愛しくて悲しくて忘れがたき名画でした。
散々高評価してきた吉田恵輔監督ですが、ここに来て最高到達点な感じです。
自分の人生の一本に加えたい超名画でした。
そんなわけで10点。
を観ました。
一世一代の恋に玉砕し、家を飛び出した42歳のダメ男・宍戸岩男(安田顕)はフィリピンにいた。
コツコツ貯めた300万円をはたいて嫁探しツアーに参加したのだ。
30人もの現地女性と次々に面会してパニック状態の岩男は、半ば自棄になって相手を決めてしまう。
それが貧しい漁村に生まれたフィリピーナ、アイリーン(ナッツ・シトイ)だった。岩男がとつぜん家を空けてから二週間。
久方ぶりの帰省を果たすと、父の源造(品川徹)は亡くなり、実家はまさに葬儀の只中だった。
ざわつく参列者たちの目に映ったのは異国の少女・アイリーン。
これまで恋愛も知らずに生きてきた大事な一人息子が、見ず知らずのフィリピーナを嫁にもらったと聞いて激昂するツル(木野花)。
ついには猟銃を持ち出し、その鈍く光る銃口がアイリーンへ……!
毎度相当高評価な吉田恵輔監督作品です。
前情報無しで観に行ったので、実際は誰の作品か知らずに見ていましたが。
人生で見た中でも相当印象に残る、トラウマになるほど辛い映画でした。
ハイセンス系な映画らしく、一人客がほとんどな印象の劇場でしたが終盤は場内涙涙でした。
そういう映画上級者を泣かす非常にハイレベルな映画だと思います。
日本の田舎町で結婚できない40代の男の扱い、街中で腫れ物扱いされる。
両親も息子の結婚を願ってやまない。
そしてフィリピンの貧しい層の女性を日本のモテない人々が買う。
そんな闇の斡旋をする仲介者たち。
そんなアジアに現代も実際にあるであろう闇を辛辣に扱っています。
不健全ながらもこういう需要と供給が成立してしまう世界、ただそこにある心はとても傷ついている。
こんな難しいテーマを最高のクオリティで描いています。
日本語も喋れず家族と引き離され日本に連れてこられ愛せない夫との暮らし。
まるで子供のように日本の文化もわからない。
ただバカではなく冷静に日本人の悪さも理解している。
言葉は悪いですが、日本の田舎の人々は容赦ないので、家畜のような扱いをされます。
フィリピンに帰りたい!って泣いてるシーンとかもう胸が引き裂かれそうに辛かったです。
絶望的な家庭環境でも必死に日々を生きるフィリピン女性、多少日本語も覚えるようになって冬の雪の中で必死に家事をして暮らす姿。
おしんの進化版な辛さです。
過激に衝突する母と息子、ふたりともかなりの狂気ですがとかく母親が狂気です。
どうしてもフィリピンから来た嫁を認められず最悪の選択をして更に最悪の事態に。
それをきっかけに不思議と二人に愛が芽生えうまくいくかと思いきや・・・。
今度は息子の方も狂気に染まってしまい精神不安定がすごくて。
序盤は、ちょっと描写が過激すぎるな、、、こんなにヒステリックに過激に描かなくてもいいのに、、、
みたいな気分もありましたが、終盤にその感想が間違っていたことを自覚。
序盤から過激に描いていたからこそ終盤はもう涙を止められませんでした。
ともすればコメディにも思われそうな序盤の過激さですが、その絶叫し続けるような演出はどれだけ深い愛情表現だったかって感じで。
こんなに”オマ○コ”ってセリフが多い映画はかつてなかったでしょう。
連呼しまくりでした。
主演の安田顕はこの手の悲しい孤独な中年男を演じさせると絶品ですね。
ガサツで汚くてズルくてクズで性欲強くて。
それでも表現しきれないマグマのような愛を抱えていて、クライマックスはめちゃくちゃ切なかったですね。
ヤクザに追われる恐怖感の表現とかもエグかったですね。
ナッツ・シトイはもちろん初めて見ましたが、この作品で日本のトップスターになってもおかしくないくらいのクオリティです。
カメ止俳優たちが多少ブレイクしているならばこの子はもっとブレイクする資格があります。
どこまでわざとかなのかはわかりませんが片言の日本語やら日本に馴染めない表現のクオリティがエグかったです。
めちゃくちゃ健気で良い子なのに、お金で買われた自分に苦悩する姿やフィリピンの家族に会いたがる姿は今思い出しても泣きそうです。
子供みたいに喜怒哀楽を表現してルックス以上にめちゃくちゃかわいかったです。
体当たり演技も素晴らしかったし、泣きの演技も最高でした。
絶望的な姑との関係がもうクライマックスには呼吸困難になりそうなくらい泣けました。
もう来年の主演女優賞はダントツでこの子だと思います。
この子を基準にするとライバルすら見当たらないので他の候補者いらないくらいですね。
木野花さんは名脇役的であちこちで上手い演技してますが特に意識したことはなかったですが半端ないです!
狂気の演技、まさに怪演ってやつですね。
ためらいなくプッツンしたヒステリックお母さん、息子の毎晩のオナニーをのぞき見する価値観。
なぜに息子にこんなに執着しているのか?狂ってると思いますが終盤にはそれも回収され見事でした。
もうこの人も悲しくて悲しくて。
やはり来年の助演女優賞はダントツで木野花さんでしょう、これを超える演技が出てくることは予想し難いです。
冷たい熱帯魚で急にでんでんさんがすごい役者だ、って世間の見る目が変わった時と同じ衝撃でした。
伊勢谷友介がフィリピンと日本のハーフな出生のヤクザで、今作の中では悪役というような役どころですが。
実は一番正しいことを言っている要素もあり、そもそも主人公たちが悪人かも知れず。
勧善懲悪では全然片付けられない深い物語の象徴でした。
河井青葉は僕が高評価する映画によく出てきます。
美人ですが美人すぎず影のある感じの女性を実にうまく演じます。
今作でも表裏がすごくて、男を狂わせる役どころで。
実はこの人が諸々のきっかけになってる感じが強いです。
福士誠治がアイリーンが頼るお坊さん役で。
この作品で唯一のまとも人間って感じで良いスパイスでした。
品川徹が認知症でありながら時々まともで。
認知症なのか違うのか難しい演技を見事にこなしていました。
かなり衝撃的だし切なくて愛しくて悲しくて忘れがたき名画でした。
散々高評価してきた吉田恵輔監督ですが、ここに来て最高到達点な感じです。
自分の人生の一本に加えたい超名画でした。
そんなわけで10点。