ディストラクション・ベイビーズ
を観ました。
愛媛県松山市西部の小さな港町・三津浜。海沿いの造船所のプレハブ小屋に、ふたりきりで暮らす芦原泰良と弟の将太。
日々、喧嘩に明け暮れていた泰良は、ある日を境に三津浜から姿を消す──。それからしばらく経ち、松山の中心街。強そうな相手を見つけては喧嘩を仕掛け、逆に打ちのめされても食い下がる泰良の姿があった。
街の中で野獣のように生きる泰良に興味を持った高校生・北原裕也。彼は「あんた、すげえな!オレとおもしろいことしようや」と泰良に声をかける。こうしてふたりの危険な遊びが始まった。やがて車を強奪したふたりは、そこに乗りあわせていたキャバクラで働く少女・那奈をむりやり後部座席に押し込み、松山市外へ向かう。その頃、将太は、自分をおいて消えた兄を捜すため、松山市内へとやってきていた。泰良と裕也が起こした事件はインターネットで瞬く間に拡散し、警察も動き出している。果たして兄弟は再会できるのか、そして車を走らせた若者たちの凶行のゆくえは──
新進気鋭・真利子哲也監督作品です。
コレが商業映画デビュー作だそうです。
前情報ほぼ無しでの鑑賞でしたが。
大好物な柳楽優弥が出てるし他も好みの俳優さんばかりだし、自分が大好きな山田孝之がSNSで絶賛してたので記憶に残っていました。
何か面白いかも位のモチベーションで観に行きました。
・・・が、コレは凄い映画でした!
本当に凄まじい映画でした!
かなりの名画だと思います。
”日本映画史上最も過激な108分”というキャッチコピーは決して大風呂敷では無いと思います。
ちょっと言葉で表現するのが非常に難しい作品ですが。
冒頭の3分くらいでもう独特な世界観がビンビン伝わりました。
一昔前の、浅野忠信が若かった頃の作品的な感じです。
台詞少なく明白な起承転結も無く、静かで激しいアーティスティック感がただよい、それでいてなんとも言えない深いメッセージ性と激情が込められた作品でした。
真利子監督のデビュー作ですが、少なからずこの作品は今後の日本映画を変えていくような予感がしました。
ただただバイオレンスな狂気の作品ですが、序盤は理由も意味もさっぱりわからないですが。
何故か柳楽優弥演じる男が道行く人に喧嘩を売り、やられてもしつこくやり返しに行き、ただただ人を殴るだけの物語と言ってもいいでしょう。
それに同調するビビりだった菅田将暉演じる若者が同調してどんどん破滅的な狂気の行動に走っていき、盗まれた車に乗りあわせてしまった小松菜奈演じるクズ女も命の危険から狂気に目覚めて行く感じで。
猛烈に暴れたくなるようなよくわからない感情が溢れて止まらなくなるような、力を込めたけどその矛先がさっぱりわからなくなるような、そんな心になってしまいました。
この作品の一つの大きな特徴は殴り合いシーンのリアルさですね。
コレ、本当に殴ってない??
ってずっと思ってしまいました。
今までのバイオレンス映画とはそこで空気感が全然違います。
いつの間にか蔓延してしまって違和感すら感じなくなってしまっている全くリアルじゃないパンチ音やキック音などの効果音がゼロなんですよ。
ものすごく激しく殴りあってるのに結構静かな感じだったりして。
パンチがかなり生々しいペチペチ音で頭突きもゴツッと生々しい音でした。
若手の役者たちがかなり凄い演技をしていました、コレも監督の力だと思います。
きっとこうしなきゃならない状況を作っていたのだと思います。
何においても柳楽優弥ですね。
全然喋らない、危なさたっぷりの狂気の男。
元々好きな役者ですが、コレは彼の最高傑作かもしれないです。
ガサツで汚らしく打算的で極度の無計画さで本能的な男でした。
めちゃくちゃ強いくて、一番出番が多いのにさっぱり感情がわかりませんでした。
暫くトラウマになってしまいそうな凄まじい演技でした。
期待の村上虹郎がその弟役でしたが、流石のサラブレッドだけあって良い空気感出すんですよね。
思春期的な行き場のない感情の感じを見事に醸しだしていました。
菅田将暉は最近得意な馬鹿で感情的な役どころでしたが、最初はヘタレなのに徐々に狂気に満ちていく感じは良かったです。
大抵感情的な役をやってますが、中でもマックスに感情的な役だったと思います。
すっかり売れっ子な小松菜奈はいつもの清純派ではなく、かなりのクズ女のキャバ嬢役でした。
殺されかけたり、バイオレンスになったり、狡猾な悪女な面があったり。
おもいっきり胸を揉まれていたし、役の幅も広いですね。
色んな監督さんがこぞって起用するのも納得ですね。
大好きな池松壮亮も出番は少なかったですがらしい役どころでカッコ良かったです。
そして大御所のでんでんも本能的な強面親父役で良かったです。
何か痛快でした。
本当にノンストップな2時間でした。
全体的に完成度が高いんですよね。
ワンシーン毎の完成度が非常に高いのですよ。
それでいて絵力もあって。
非常に印象的なシーンがちょいちょいあって。
魂が揺さぶられてしかたなかったです。
ラストの意味深なシーンには不思議と泣きそうになってしまいました。
きっと感情がもう飽和してしまったのでしょう。
この手の映画でコレほどエネルギーを使うのはアモーレス・ペロスなどを思い出しました。
この監督さんもイニャリトゥ監督みたいになるんじゃないでしょうか?
予想外の名画との出会いでした。
そんなわけで9点です。
を観ました。
愛媛県松山市西部の小さな港町・三津浜。海沿いの造船所のプレハブ小屋に、ふたりきりで暮らす芦原泰良と弟の将太。
日々、喧嘩に明け暮れていた泰良は、ある日を境に三津浜から姿を消す──。それからしばらく経ち、松山の中心街。強そうな相手を見つけては喧嘩を仕掛け、逆に打ちのめされても食い下がる泰良の姿があった。
街の中で野獣のように生きる泰良に興味を持った高校生・北原裕也。彼は「あんた、すげえな!オレとおもしろいことしようや」と泰良に声をかける。こうしてふたりの危険な遊びが始まった。やがて車を強奪したふたりは、そこに乗りあわせていたキャバクラで働く少女・那奈をむりやり後部座席に押し込み、松山市外へ向かう。その頃、将太は、自分をおいて消えた兄を捜すため、松山市内へとやってきていた。泰良と裕也が起こした事件はインターネットで瞬く間に拡散し、警察も動き出している。果たして兄弟は再会できるのか、そして車を走らせた若者たちの凶行のゆくえは──
新進気鋭・真利子哲也監督作品です。
コレが商業映画デビュー作だそうです。
前情報ほぼ無しでの鑑賞でしたが。
大好物な柳楽優弥が出てるし他も好みの俳優さんばかりだし、自分が大好きな山田孝之がSNSで絶賛してたので記憶に残っていました。
何か面白いかも位のモチベーションで観に行きました。
・・・が、コレは凄い映画でした!
本当に凄まじい映画でした!
かなりの名画だと思います。
”日本映画史上最も過激な108分”というキャッチコピーは決して大風呂敷では無いと思います。
ちょっと言葉で表現するのが非常に難しい作品ですが。
冒頭の3分くらいでもう独特な世界観がビンビン伝わりました。
一昔前の、浅野忠信が若かった頃の作品的な感じです。
台詞少なく明白な起承転結も無く、静かで激しいアーティスティック感がただよい、それでいてなんとも言えない深いメッセージ性と激情が込められた作品でした。
真利子監督のデビュー作ですが、少なからずこの作品は今後の日本映画を変えていくような予感がしました。
ただただバイオレンスな狂気の作品ですが、序盤は理由も意味もさっぱりわからないですが。
何故か柳楽優弥演じる男が道行く人に喧嘩を売り、やられてもしつこくやり返しに行き、ただただ人を殴るだけの物語と言ってもいいでしょう。
それに同調するビビりだった菅田将暉演じる若者が同調してどんどん破滅的な狂気の行動に走っていき、盗まれた車に乗りあわせてしまった小松菜奈演じるクズ女も命の危険から狂気に目覚めて行く感じで。
猛烈に暴れたくなるようなよくわからない感情が溢れて止まらなくなるような、力を込めたけどその矛先がさっぱりわからなくなるような、そんな心になってしまいました。
この作品の一つの大きな特徴は殴り合いシーンのリアルさですね。
コレ、本当に殴ってない??
ってずっと思ってしまいました。
今までのバイオレンス映画とはそこで空気感が全然違います。
いつの間にか蔓延してしまって違和感すら感じなくなってしまっている全くリアルじゃないパンチ音やキック音などの効果音がゼロなんですよ。
ものすごく激しく殴りあってるのに結構静かな感じだったりして。
パンチがかなり生々しいペチペチ音で頭突きもゴツッと生々しい音でした。
若手の役者たちがかなり凄い演技をしていました、コレも監督の力だと思います。
きっとこうしなきゃならない状況を作っていたのだと思います。
何においても柳楽優弥ですね。
全然喋らない、危なさたっぷりの狂気の男。
元々好きな役者ですが、コレは彼の最高傑作かもしれないです。
ガサツで汚らしく打算的で極度の無計画さで本能的な男でした。
めちゃくちゃ強いくて、一番出番が多いのにさっぱり感情がわかりませんでした。
暫くトラウマになってしまいそうな凄まじい演技でした。
期待の村上虹郎がその弟役でしたが、流石のサラブレッドだけあって良い空気感出すんですよね。
思春期的な行き場のない感情の感じを見事に醸しだしていました。
菅田将暉は最近得意な馬鹿で感情的な役どころでしたが、最初はヘタレなのに徐々に狂気に満ちていく感じは良かったです。
大抵感情的な役をやってますが、中でもマックスに感情的な役だったと思います。
すっかり売れっ子な小松菜奈はいつもの清純派ではなく、かなりのクズ女のキャバ嬢役でした。
殺されかけたり、バイオレンスになったり、狡猾な悪女な面があったり。
おもいっきり胸を揉まれていたし、役の幅も広いですね。
色んな監督さんがこぞって起用するのも納得ですね。
大好きな池松壮亮も出番は少なかったですがらしい役どころでカッコ良かったです。
そして大御所のでんでんも本能的な強面親父役で良かったです。
何か痛快でした。
本当にノンストップな2時間でした。
全体的に完成度が高いんですよね。
ワンシーン毎の完成度が非常に高いのですよ。
それでいて絵力もあって。
非常に印象的なシーンがちょいちょいあって。
魂が揺さぶられてしかたなかったです。
ラストの意味深なシーンには不思議と泣きそうになってしまいました。
きっと感情がもう飽和してしまったのでしょう。
この手の映画でコレほどエネルギーを使うのはアモーレス・ペロスなどを思い出しました。
この監督さんもイニャリトゥ監督みたいになるんじゃないでしょうか?
予想外の名画との出会いでした。
そんなわけで9点です。