奈落

そんなつもりじゃなかったけど
力加減がわからず人を殺してしまった
なんらかの理由で
傷めつけたかっただけだったのだが
殺すつもりは全くなかったが・・・

なんてツイていないのか

それでも部下たちの手前威張っていた
お前たちビビってるんじゃねぇ！と
コレくらい余裕だよと

そして部下二人に手伝わせて死体を車で運ぶ
夜の闇が深いうちに解決しなければ
ついに社会の反対側に来てしまったことを実感する

内心は失禁しそうなほどにビビっていた
バレたら終わりだ・・・バレたら終わりだ・・・
永遠に夜が明けなければいいのにと願った

やがて田舎の住宅地へ
一軒一軒の敷地が広く空き地のようになってる場所が沢山あった
ここなら大丈夫だろうと決心する

こういう時ほど迷わないべきだ
何処かの家の 庭の端っこのようだが
逆にこういう場所の方が怪しくないものだと不思議な自信があった

土は柔らかくスコップで簡単に穴を掘れた
死体を穴に置いて埋めようとした時
唐突に四方からライトでてらされた
いつの間にか警察に囲まれていた
部下たちは観念して捕まっていた

一瞬思考は完全に止まり何もかも終わりだと脱力
しかし次の瞬間慌てて車に乗り込んで急発進した
どうせなら死ぬまで逃げてやろうやりきってやろうと
車を縁石にぶつけながら逃げた

しかし数時間後
もう世界のどこにも安住はないと理解する
なんとも絶望的な朝日に照らされた
今度は自分の死ねる場所を探して彷徨い始めた