人魚の眠る家
を観ました。
離婚寸前の夫婦のもとに、ある日突然、届いた知らせ。
「娘がプールで溺れたーーー」。
愛するわが子は意識不明のまま、回復の見込みはないという。
奇跡を信じる夫婦は、ある決断を下すが、そのことが次第に運命の歯車を狂わせていくーーー。
堤幸彦監督作品、東野圭吾原作です。
大好きな東野圭吾作品ですが最近は小説を読む時間が無くいきなり映画を見ることが増えてきました。
コレもそうです。
予告編を見る限りちょっとSF的な要素もあるのかな?と思ったのですがほぼなかったです。
シンプルにとことん死を見つめる倫理的に非常に悩ましい内容でした。
公開初日でかなり混んでいましたがクライマックスはほとんどの人が泣いてました。
このやり方で泣かすのはちょっとズルいと思いましたが、もれなく自分も泣いてしまいました。
テイストは淡く重厚で。
堤幸彦がこの手の感動作や自分の個性を消したクセの少ない作品で成功してる印象があまり無いのですが。
今作は初めてまともに良い映画だと思いました。
6歳ながら平均よりも大分いい子な娘、優しく面倒見がよく気が使える娘。
それがプールの事故で脳死状態になってしまう。
脳死判定をして臓器提供に同意しようと思ったタイミングでわずかに動いた指を見て僅かな可能性に希望を見出す両親。
医者は希望は無いと言いますが、それでも延命治療を選択する両親の気持ちは誰も否定出来ないと思います。
そんな延命治療をする日々の中、父はハイテク医療機器メーカーを経営してるので新しい技術、研究を知る。
最初に行った自発呼吸をさせるペースメーカーのようなものを埋め込んだおかげで脳死状態の中でも代謝が上がったことを知る。
そして電気信号を使って体を動かす技術を使って娘の体を動かす。
その技術にのめり込んでいく母は徐々に過激になっていき脳死状態の娘をあちこちに連れ出しそれが周囲との確執になっていく。
電気信号とは言え体が動くことが嬉しい母の気持ちが痛かったです。
壮絶な愛情で娘と向かい合っている母の悲壮感の描写が素晴らしかったです。
家族の描写がリアルでそれが感情移入しやすい要因だったと思います。
孫をプールに連れて行ったことに壮絶な後悔を抱き残りの人生をすべて孫に捧げると誓っている祖母。
母の妹とその娘で脳死状態の子と仲良しだった従兄弟も頻繁にお見舞いに来て家族を支える。
弟も言われるままにお姉ちゃんを見守る。
が、その弟の成長をきっかけに関係性が崩壊していき最終的にはえらい騒ぎに。
狂気に徐々に染まっていることに気づかない母と冷静に見ると異常な家族だとなるそれ以外の人々。
研究者は母の見方だが人のためだか研究のためだかはあやふやで。
脳死状態を死んでいるという人と生きているという人の難しすぎるディベート。
生きているってなんだろう?死とはなんだろう?ってかなり悩ましいです。
その対極で臓器移植を待つ子どもたちやその子達を助ける活動をする人々。
それを夫が支援したことを怒る母。
脳死状態の子供の延命治療がともすれば悪い事のように捉えられるような。
逆に脳死の人が出ることを待つことも悪い事のような。
倫理的に正解が無いようなテーマでした。
誰が見ても登場人物の誰かに強烈に感情移入できるような素晴らしい設定感でした。
脳死状態になってしまった子供を持つ親に僅かな希望を与えたらどうなるか?
そんなテーマをとことん掘り下げたような物語でした。
個人的には、時に現実の医療でも異常だと思うことがあります。
医療ってどこまで手を出して良いのか?人の命を救うためなら手段を選ばないように思えています。
なので本来自分のモノでもないものを移植したり摘出したりするのもかなり異常だと僕は思ってしまいます。
そして思いもよらない角度からのどんでん返しもあり。
かなり意表をつかれる要素もありました。
キャストの人々がめちゃくちゃ熱演だったのでクライマックスの展開には涙涙でした。
コレは原作ではどう描かれているのだろうか?とかなり気になったので読んでみたいです。
主演の篠原涼子はキャリアハイくらいの素晴らしい演技でした。
もうこの人の演技で魂揺さぶられます、賞レースで評価される程の熱演だったと思います。
事故直後、泣きわめく家族の中で一人冷静でありながら帰って一人になると慟哭。
狂気に染まっていくかのような終盤、ただ壮絶な程に娘を愛しているゆえの行為。
ヒステリックな女性って苦手なのですが、そういう見本みたいな見事なヒステリック感でした。
自分には子供がいませんが、もしも子供がいる状況だったらまた違った目線で見た気がします。
西島秀俊が対照的に冷静に広い目線で見守る感じでした。
おそらく世の大半のお父さんはこういう感じになるんじゃないかな?って感じでした。
そもそも最初に技術を見つけてきた責任を感じつつ。
臓器提供を待つ人々の苦悩や悲しみを知りつつ。
めちゃくちゃ悩ましい立場でした。
山口紗弥加が篠原涼子の妹役でした。
この人は非常に演技派として評価していますが最近世間的にも評価が高まっているようで嬉しいです。
今作でもこれぞ叔母の見本みたいな素晴らしい演技でした。
夫婦を助ける研究者を坂口健太郎が演じていました。
人を幸せにしたいという志の元に研究者になったのに婚約者を始め周囲の人々を不幸にしていってしまう葛藤。
そして子供のためなのか?研究のためなのか?も曖昧になっていく感じはよく出ていました。
川栄李奈は坂口健太郎の婚約者役で相変わらず売れっ子でいい感じでした。
ちょっと距離があるせいか、家族の延命治療をシンプルに異常だと捉えます。
それもわかる気がします。
脳外科医を演じた田中哲司もかなり素晴らしかったです。
ともすれば荒唐無稽で非現実的にもなりかねない内容ですがこの人がぜんぜんリアルだったので物語が引き締まっていました。
演技的にもとてもジャスティス感が出ていました。
祖母役の松坂慶子も言わずもがな見事でした。
事故現場に居たせいで強い責任を感じている様が辛かったです。
何より子役の3人が素晴らしく、脳死状態になる子役の子が可愛くて物語の切なさを引き出すのに最適でした。
予想外にいい映画で良いテーマでとにかく泣けました。
そんなわけで8点。
を観ました。
離婚寸前の夫婦のもとに、ある日突然、届いた知らせ。
「娘がプールで溺れたーーー」。
愛するわが子は意識不明のまま、回復の見込みはないという。
奇跡を信じる夫婦は、ある決断を下すが、そのことが次第に運命の歯車を狂わせていくーーー。
堤幸彦監督作品、東野圭吾原作です。
大好きな東野圭吾作品ですが最近は小説を読む時間が無くいきなり映画を見ることが増えてきました。
コレもそうです。
予告編を見る限りちょっとSF的な要素もあるのかな?と思ったのですがほぼなかったです。
シンプルにとことん死を見つめる倫理的に非常に悩ましい内容でした。
公開初日でかなり混んでいましたがクライマックスはほとんどの人が泣いてました。
このやり方で泣かすのはちょっとズルいと思いましたが、もれなく自分も泣いてしまいました。
テイストは淡く重厚で。
堤幸彦がこの手の感動作や自分の個性を消したクセの少ない作品で成功してる印象があまり無いのですが。
今作は初めてまともに良い映画だと思いました。
6歳ながら平均よりも大分いい子な娘、優しく面倒見がよく気が使える娘。
それがプールの事故で脳死状態になってしまう。
脳死判定をして臓器提供に同意しようと思ったタイミングでわずかに動いた指を見て僅かな可能性に希望を見出す両親。
医者は希望は無いと言いますが、それでも延命治療を選択する両親の気持ちは誰も否定出来ないと思います。
そんな延命治療をする日々の中、父はハイテク医療機器メーカーを経営してるので新しい技術、研究を知る。
最初に行った自発呼吸をさせるペースメーカーのようなものを埋め込んだおかげで脳死状態の中でも代謝が上がったことを知る。
そして電気信号を使って体を動かす技術を使って娘の体を動かす。
その技術にのめり込んでいく母は徐々に過激になっていき脳死状態の娘をあちこちに連れ出しそれが周囲との確執になっていく。
電気信号とは言え体が動くことが嬉しい母の気持ちが痛かったです。
壮絶な愛情で娘と向かい合っている母の悲壮感の描写が素晴らしかったです。
家族の描写がリアルでそれが感情移入しやすい要因だったと思います。
孫をプールに連れて行ったことに壮絶な後悔を抱き残りの人生をすべて孫に捧げると誓っている祖母。
母の妹とその娘で脳死状態の子と仲良しだった従兄弟も頻繁にお見舞いに来て家族を支える。
弟も言われるままにお姉ちゃんを見守る。
が、その弟の成長をきっかけに関係性が崩壊していき最終的にはえらい騒ぎに。
狂気に徐々に染まっていることに気づかない母と冷静に見ると異常な家族だとなるそれ以外の人々。
研究者は母の見方だが人のためだか研究のためだかはあやふやで。
脳死状態を死んでいるという人と生きているという人の難しすぎるディベート。
生きているってなんだろう?死とはなんだろう?ってかなり悩ましいです。
その対極で臓器移植を待つ子どもたちやその子達を助ける活動をする人々。
それを夫が支援したことを怒る母。
脳死状態の子供の延命治療がともすれば悪い事のように捉えられるような。
逆に脳死の人が出ることを待つことも悪い事のような。
倫理的に正解が無いようなテーマでした。
誰が見ても登場人物の誰かに強烈に感情移入できるような素晴らしい設定感でした。
脳死状態になってしまった子供を持つ親に僅かな希望を与えたらどうなるか?
そんなテーマをとことん掘り下げたような物語でした。
個人的には、時に現実の医療でも異常だと思うことがあります。
医療ってどこまで手を出して良いのか?人の命を救うためなら手段を選ばないように思えています。
なので本来自分のモノでもないものを移植したり摘出したりするのもかなり異常だと僕は思ってしまいます。
そして思いもよらない角度からのどんでん返しもあり。
かなり意表をつかれる要素もありました。
キャストの人々がめちゃくちゃ熱演だったのでクライマックスの展開には涙涙でした。
コレは原作ではどう描かれているのだろうか?とかなり気になったので読んでみたいです。
主演の篠原涼子はキャリアハイくらいの素晴らしい演技でした。
もうこの人の演技で魂揺さぶられます、賞レースで評価される程の熱演だったと思います。
事故直後、泣きわめく家族の中で一人冷静でありながら帰って一人になると慟哭。
狂気に染まっていくかのような終盤、ただ壮絶な程に娘を愛しているゆえの行為。
ヒステリックな女性って苦手なのですが、そういう見本みたいな見事なヒステリック感でした。
自分には子供がいませんが、もしも子供がいる状況だったらまた違った目線で見た気がします。
西島秀俊が対照的に冷静に広い目線で見守る感じでした。
おそらく世の大半のお父さんはこういう感じになるんじゃないかな?って感じでした。
そもそも最初に技術を見つけてきた責任を感じつつ。
臓器提供を待つ人々の苦悩や悲しみを知りつつ。
めちゃくちゃ悩ましい立場でした。
山口紗弥加が篠原涼子の妹役でした。
この人は非常に演技派として評価していますが最近世間的にも評価が高まっているようで嬉しいです。
今作でもこれぞ叔母の見本みたいな素晴らしい演技でした。
夫婦を助ける研究者を坂口健太郎が演じていました。
人を幸せにしたいという志の元に研究者になったのに婚約者を始め周囲の人々を不幸にしていってしまう葛藤。
そして子供のためなのか?研究のためなのか?も曖昧になっていく感じはよく出ていました。
川栄李奈は坂口健太郎の婚約者役で相変わらず売れっ子でいい感じでした。
ちょっと距離があるせいか、家族の延命治療をシンプルに異常だと捉えます。
それもわかる気がします。
脳外科医を演じた田中哲司もかなり素晴らしかったです。
ともすれば荒唐無稽で非現実的にもなりかねない内容ですがこの人がぜんぜんリアルだったので物語が引き締まっていました。
演技的にもとてもジャスティス感が出ていました。
祖母役の松坂慶子も言わずもがな見事でした。
事故現場に居たせいで強い責任を感じている様が辛かったです。
何より子役の3人が素晴らしく、脳死状態になる子役の子が可愛くて物語の切なさを引き出すのに最適でした。
予想外にいい映画で良いテーマでとにかく泣けました。
そんなわけで8点。