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あの日の声を探して

2015年05月16日 | 映画
あの日の声を探して を観た。

1999年、チェチェンに暮らす9歳のハジは、両親を銃殺されたショックで声を失ってしまう。
姉も殺されたと思い、まだ赤ん坊の弟を見知らぬ人の家の前に捨て、一人放浪するハジ。彼のような子供さえも、ロシア軍は容赦なく攻撃していた。
ロシア軍から逃げ、街へたどり着いたハジは、フランスから調査に来たEU職員のキャロルに拾われる。
自分の手では何も世界を変えられないと知ったキャロルは、せめて目の前の小さな命を守りたいと願い始める。
ハジがどうしても伝えたかったこととは? 生き別れた姉弟と再び会うことができるのか──?

って話。


アーティストで一躍注目を浴びたミシェル・アザナヴィシウス監督の作品です。

情報なしで観に行きました。
予想外に第二次チェチェン紛争を描いたノンフィクション的な映画でした。
なかなかの名画でした。

制作的にはフランス映画でしょうか?

上品でハイセンスで生々しい戦争映画でした。
僕が言う上品と言うのは、
ドラマ性を帯びたシーンに必要以上の演出を入れないということを指します。

ドラマや映画が多すぎて決まりきったパターンが沢山ありますが、
現実社会では絶対に見かけないようなシーンは沢山ります。

その境界が低いほどハイセンスだと思わされます。

関わりが無いように見える2つのエピソードが描かれていました。

戦争孤児となってしまったチェチェンの子供。
失語症となってしまって放浪する中でフランス人調査員に拾われ暮らすようになり徐々に絆を築いていきます。

その描き方がなかなか歯がゆくて素晴らしかったです。

一方些細な罪で強制入隊させられたロシアの若者。
軍でひどい扱いや死体処理の辛い仕事をさせられる。

どちらも主人公たちがスペシャルな人物像ではなく、
生々しい普通の凡人です。
その辺が戦争の持つ残酷さを表現するのに効果的でした。

全然無関係なこの2つのストーリーはどこかで繋がるのかな?繋がらないのかな?
なんて気持ちで観てましたが、流石に最後に少しだけ繋がりました。

いつもながら言葉にこだわる僕ですが、
この映画は英語・フランス語・ロシア語。
あと多分チェチェン語が使われていたような。(フランス語でもないしロシア語でも無さそうだったので)

僕が世界を放浪して悟った大きなインプットの一つ、日本人は言語に疎すぎる特殊民族だと知れたこと。
きっと多くの日本人はこの映画を観ても日本語字幕しか追わないので、
それぞれが話してる言語が違うっていうことの意味を汲み取れない気がしてしまいます。

この映画におけるそれぞれが話す言語が違うことは大きな意味を持ちます。
民族の違いをそこで明確に表現しています。

自分も英語とフランス語くらいは字幕無しでいけるようになりたいですが。
あといずれはロシア語も。

こういう上品なヨーロッパ映画に久々に触れたので嬉しかったです。
これが近所の映画館でやっていたのは幸運でした。

流石ハイセンス監督の作品なので非常に深い部分に触れられた気がします。


そんなわけで7点です。


この映画は近代史の勉強にもなりますね。

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