光

光
を観ました。


東京の離島、美浜島。中学生の信之は記録的な暑さが続く中、閉塞感のある日々を過ごしている。
美しい恋人の美花がいることで、毎日は彼女を中心に回っていた。
信之を慕う年下の輔は、父親からはげしい虐待を受けており、誰もが見て見ぬふりをしていた。
ある夜、美花と待ち合わせをした場所で、信之は美花が男に犯されている姿を見る。
そして信之は美花を救うために男を殺してしまう―。
その夜、理不尽で容赦ない天災が島に襲いかかり、すべてを消滅させた。
生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだった。
それから25年後、島を出てバラバラになった彼らのもとに過去の罪が迫ってくる―。
妻子とともによき父として暮らしている信之と、一切の過去を捨ててきらびやかな芸能界で貪欲に生き続ける美花。
誰からも愛されずに育った輔が過去の秘密を携え、ふたりの前にやってくるのだった。


大森立嗣監督作品です。
過去の作品はことごとく高評価な、かなり好みの監督です。

因みに今年河瀬直美監督にも同名の作品がありましたが、内容は似ても似つかないです。
タイトルって不思議だなと思いました。

プロローグは小さな島でのうだるような夏の日々。
いかにも日本の孤立した田舎の感じがプンプンで非常に引き込まれる冒頭でした。
恋人と弟のようにいつもくっついてくる男の子と過ごす主人公。
ああ、子供の頃、「ついてくるな！」と言ってもついてくる年下のガキっていたなー、って凄く共感しました。
そして起きる秘密の事件。
中学生くらいのカップルの描写が非常にいい感じでした。

映像美もなかなかのもので芸術点はかなり高めでした。

津波の描写がありますが、ソフトに上手いこと描いてました。
それでも不思議と怖かったです。

そこから25年後、なかなかの不穏な空気感です。
何があったのか？バラバラに生きてきた3人の大きく変わってしまった要素と変わらない要素。
それに性と暴力な感じです。

序盤から瑛太と橋本マナミの濡れ場がありますが、かなりエロくてありがたかったです。
今まで全くピンと来てなかった橋本マナミの評価は一気に上がりました。
確かに独特で素晴らしい色気があります。

瑛太がなかなかのクズ人間なのですが、社会の底辺な感じの世界観が見事でした。
不潔感が凄くてガサツ過ぎる所作。
その後、父親も出てきますがそれが更に輪をかけてクズ感がすごかったです。
平田満が演じていましたが、良くこんな汚ったらしい役を引き受けたな、と思いました。

基本的にかなり静かな映画ですが時々急に爆音のBGMでスライドショー的なシーンになったり、
何か企みのシーンになったり。
とにかくマッドな感じの演出は相当なものです。
岡本太郎記念館の作品もかなり効果的に利用していて、
岡本太郎好きには素晴らしいPVのようにもなってました。
そこだけでもなかなかアート的な価値がありました。

なかなか破滅的なストーリーで、なんでそんな悪い選択しかしないのか？とうんざりさせられました。
もっと幸せに生きる方法はあると思うのに、、、みたいな。
ただそれを選択出来ないような子供時代の出来事なのですね。

井浦新はこういう影のある役をやらせたらNo.1かも知れないですね。
本音を隠して優しい雰囲気を出してますが、内面にかなりの怖さを秘めてる感じです。

瑛太は大森立嗣監督きっかけな感じが強いですが、最近こういうワイルドな役が多いですね。
一昔前の永瀬正敏やら浅野忠信なんかの系譜を感じさせますね。
かなりの不潔感と貧乏感とクズっぷりがすごかったです。
濡れ場もなかなかのものでした。

長谷川京子も非常に影のある女性役でした。
子供時代からミステリアスで、女性ってこういうイメージありますね。
大人になってからはミステリアス女優という設定でしたがかなりぴったりでした。
そして長谷川京子の濡れ場は初見な気がしましたがなかなか良かったです。

橋本マナミはとにかく色気たっぷりで良かったです。
ちょっと病んで影のある感じも非常にそそられました。
とにかく濡れ場がエロくて良かったです。

平田満がすごかったですね、コレは何か賞を与えたいくらいでした。
よくこんな役を引き受けたな、って思うくらいのクズ人間でした。
そしてそれがかなり様になってました。
その汚さは、ほぼ、ごっつええ感じのアホアホマンですよ。

子役の早坂ひららって子がかなり小さいのにしっかり演技してて驚きました。

僕には大好物なテイストですが、はまらない人にはかなり退屈な映画なのかもしれません。
イビキかいて寝てる人がいてなかなか不愉快でした。


そんなわけで8点。