メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

60歳のラブレター

2009年05月21日 | 映画
60歳のラブレターを観た。

アラウンド60の3組のカップルの熟年恋愛のお話です。

橘孝平(中村雅俊)は大手建設会社に勤めていたが定年退職し会社には残らず。
それをきっかけに内気で地味で従順な妻ちひろ(原田美枝子)と離婚する。
そして若い愛人根本夏美(原沙知絵)がやってる会社の共同経営者となる。

妻とは元々政略結婚で30年間仮面夫婦を演じていた。
娘マキ(星野真里)は出産をひかえ同棲相手は居るが愛の無い両親を見て育った為、未婚の母になろうとしている。

医師の佐伯静夫(井上順)は冴えない医者で5年前に妻を亡くし思春期の娘と二人暮らし。
ドラマや小説の医学的な監修のバイトをしてる。

長谷部麗子(戸田恵子)は売れっ子翻訳作家。
アグレッシブな人生を送ってきた成功者だが結婚は出来ずにこの歳まで生きてきた。
小説の監修を佐伯に依頼する。

松山正彦(イッセー尾形)と光江(綾戸智恵)は細々と魚屋を営む夫婦。
お互いの悪口ばかり言い合う口の悪い夫婦だが深い信頼関係で結ばれている。
正彦は若い頃グループサウンズをやっていてそれなりに人気があり、光江はその追っかけをしていた。
正彦は糖尿病で担当医は佐伯、毎日妻に連れられウォーキングをしている。


(ネタバレ)
ちひろは家政婦の仕事で麗子の家に行き、仲良くなり一緒にパーティに行く。
そこで出会った売れっ子小説家麻生圭一郎(石黒賢)にアプローチさせる。
人生で一度も恋愛をした事が無いちひろは戸惑う。

ちひろは麗子のアドバイスで垢抜けて明るくなる。
孝平は家を妻に譲り希望に溢れ新しい生活を始めるが色々と上手く行かない。
仕事も恋愛も徐々に翳ってゆく。
娘に子供が産まれ久々に家族再会するが、すっかり変わった妻に驚く。
そして「負け試合でも引き分けにするのがあなたでしょ」と助言をもらう。

佐伯と麗子は意気投合し徐々に親密になっていく。

松山夫婦は毎晩ウォーキング。
その道中にある店で売られているマーチンのギターに正彦は憧れている。
しかしある日売れてしまい落ち込む。

佐伯と麗子は順調に親交を深めるが佐伯の娘が麗子を嫌い、食事会の席でひどく悪口を言って去っていく。
とても落ち込んだ麗子は佐伯にサヨナラをいい一人酒を飲む。
娘が何故か麗子のところに戻ってきて謝るのかと思いきや、何か手紙を書いて帰って行く。
その手紙を佐伯が持ってきて、文章は英語で麗子が訳すと告白の手紙となった。
娘が二人を結んだのである。

正彦の糖尿病は大分良くなったが、佐伯が光江の不調に気付き脳腫瘍が見つかる。
そして手術へと向かう。

手術室へ向かいながらも口の悪い光江。
正彦に「押入れの戸ががたがたするから絶対直しておけ」と言う。

帰って妻の荷物をまとめ、押入れを開けるとそこにはリボンの付いたマーチンのギターと光江からの口の悪い手紙があった。
正彦への誕生日プレゼント「こんくらいのへそくりはあるんだ」と

不安でたまらない正彦は妻にしてあげられる事は何か無いか?と一晩中ベッドのそばでビートルズを弾き語る。
そして妻は無事生還する。

孝平はなんとなく元の家に寄ってみたら妻は麻生とのデートの帰りで妻の近況を知る、ちひろも30年間我慢していた思いを吐き出す。
娘の子供を見に病院へ来ていた孝平の元に30年前の新婚旅行の時のイベントで妻が書いた手紙が送られてくる。
手紙の内容と正彦の歌を聞いた孝平は思い立ち、大きな絵を描き始める。
孝平は若い頃画家を目指しており30年前の手紙にはあなたの絵が見たいと書かれていた。

会社を辞め麻生とちひろが北海道へ行ったのを先回りして大きなラベンダーの絵を花の咲いていないラベンダー畑に広げる。

そして二人はやり直す決意をする。


(評価)
想像以上に感動させられました。
かなりいい作品だったのではないでしょうか。

演出もオーソドックスで大げささも無く良かったです。

キャスティングもとっても良かったと思います。
特にイッセー尾形、綾戸智恵夫婦のキャスティングがとても良かったです。
手術室に向かう前の
「自分が先に逝くと思っとったか、わたしが先じゃ、ざまあみろ!」
「許さねえぞ、俺を一人にしたら許さねえぞ」
ってやりとりの部分はかなり泣けました。
その後、押入れのギターを発見するシーンから一晩中歌い続けるシーンと畳み掛けられ涙せずにはいられませんでした。
この辺静かな演出でよかったです。

劇場内でもかなりのすすり泣きが聞こえてました。

超素敵で素朴な夫婦像でした。

孝平とちひろのやり取りも良かった。
離婚したのに30年間夫にしてきた習慣が抜けないちひろはついつい孝平の鞄を持ったりしてしまう。
全然喋らないと思っていた妻に、浮気したり、家族を大切にしないろくでなしと怒鳴られ戸惑う感じも良かったです。

佐伯と麗子の部分はちょっと寒くて要らなかったかもしれないが演技が上手くてなんとかセーフって感じです。

主人公達はちょうど自分両親くらいの設定なので何となくしんみりと観てしまいました。
自分の両親はそれなりに安泰に見えるがどうなんだろうか?と

そんなわけで8点です。

とても感動したし、題材も良かったと思います。

手紙を届ける役でお気に入りの石田卓也君がまた出てました。
近年非常によく見かけます。
貫地谷しほりさんの男版って感じです。

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