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妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ

2018年05月25日 | 映画
妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ
を観ました。


山田洋次監督のファミリーコメディシリーズの3作目です。
東京家族も含めれば4作目って気もしますが。

個人的に非常に大好きな、ファンと言っていいシリーズです。

設定は同じですが脇役がちょっとずつ変わるので世界観の掴み方は若干複雑です。
つながりモノとしてというよりかは、毎度のリセット感もあり独特です。
言ってしまえば毎作違うキャラクターで小林稔侍が出てくるのでそこにパラレルワールド感があります。

それでも基本的には繋がりものとして考えていいでしょう。
ちらっと前作のエピソードが会話の中に入れ込まれたりしているので同じ世界の出来事だと思います。

お話は今まで通り実に日本的な家庭を舞台にした人間模様、
今まで以上にこれと言った主役が無く群像劇感が増しました。

中でも夏川結衣が結構序列を上げて主役っぽくなってました。
それと旦那の西村雅彦による夫婦、空き巣騒動をきっかけにした二人の別居騒動が今作のメインストーリーです。
主婦を軽視する古い価値観の男たちに主婦の仕事がいかに大変か?というのを伝えるお話です。

テーマとしてはベタですが山田洋次監督が真摯に強めにそれを主張することは改めて価値があると思います。
わかっては居るけど、って感じですが真っ向からの主張は結構胸に響きました。

三作目になっても現代劇らしい遊び心はあってとても80代後半の監督とは思えないですね。
山田洋次監督はもはや神のような存在になっている気がします。

全体的にちょっとコメディ要素は減った気がします。
お客さんはもう少し気楽に笑いたい映画かな?とは思いました。

夏川結衣は今作最も目立つ役だったかもしれません。
昔はミステリアス美女って感じの印象でしたがいいキャリアの重ね方してると思います。
美人な一般主婦感はかなり良くて役にマッチしていました。

西村雅彦がややこしい頑固親父で今作の中では悪役ポジションでした。
ちょっと極端なキャラクターでしたがそれが物語に振り幅を与えていました。
予定調和的な展開とは言え、この極端なキャラクターが大きな武器になっていました。
コメディ要素はいつもより大分無くなっていました。

妻夫木聡がこのシリーズでは非常に好青年な役で存在感あります。
近年、他の作品だとクセの強い役作りが強めの役をやってる印象が強いので逆に新鮮に思えます。

蒼井優はこのシリーズの中だと作品毎に立ち位置が変わって行くので時間経過を最も感じさせるキャラですね。
最初は妻夫木聡の恋人としてよそよそしく紹介された女の子に過ぎなかったのに、今やすっかり存在感あるお嫁さんになっています。
平田家の時間が短い分凄く一般的な価値観を感じさせる基準になってる感じです。
彼女も近年、よその作品ではクセの強い役が多いのでこういう普通の女性像は斬新だし、クオリティも高いです。

橋爪功のおじいさんは今作はコメディ要員でしたね。
言うまでもなく素晴らしいです。

吉行和子はいつもどおり、ちびまる子のおばあちゃんやサザエさんのフネのように優しいおばあちゃん像です。
流石に老いたなと思えるのでまだまだお元気に頑張っていただきたいです。

中嶋朋子、林家正蔵夫婦は相変わらずの隙間キャラクターって感じでいい感じで物語を進めます。

小林稔侍は毎作違う役で出てきます。
前作は友人役で死んでいましたが、今作はまた普通に友人役で出ていました。

警察役で最近ブレイク中の立川志らくが出ていました。
こういう旬の人物を使うのは珍しく思いましたがベテランなので作品にはマッチしていました。

これを見ると素直に家族っていいなと思いますし、家族が欲しくなります。
毎度言いますが外人に日本の日常を伝えるに最適な映画だと思います。

コメディがもう少し欲しい印象でしたがシリーズとしては長く続くことを願います。
キャストが決して若くは無いので速いペースで続けてほしいですね。


そんなわけで7点。

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