メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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「ごらん、世界は美しい」

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聲の形

2016年10月25日 | 映画
聲の形
を観ました。


退屈すること”を何よりも嫌う少年、石田将也。ガキ大将だった小学生の彼は、転校生の少女、西宮硝子へ無邪気な好奇心を持つ。彼女が来たことを期に、少年は退屈から解放された日々を手に入れた。
しかし、硝子とのある出来事がきっかけで将也は周囲から孤立してしまう。やがて五年の時を経て、別々の場所で高校生へと成長したふたり。ある出来事”以来、固く心を閉ざしていた将也は硝子の元を訪れる。
これはひとりの少年が、少女を、周りの人たちを、そして自分を受け入れようとする物語――。


山田尚子監督作品です。
大今良時って方の漫画が原作みたいですね。
全く知りませんでした。

山田尚子は僕があまり得意ではないオタク向けな映画のイメージがあったのでちょっと警戒しましたが、
全然自分でも受け入れられる一般的なアニメでした。

なかなかハイセンスで深みのある物語で詩的で面白かったです。

声が出せない女の子との小学校時代のいじめをきっかけに、
その後自分が孤立するようになり、高校時代になってからは誰とも交流しない暮らしになった主人公。
なかなか繊細で生々しい物語でした。
主人公が自殺を考えるところから小学校時代の回想となかなか刺激的です。
チープな小学生の言動を描くタイプでは無く、理屈が通じず感情が突っ走るような描写で。
子供の持つ無邪気な残酷さも見事に表現されていました。

高校時代の描写も現代の若者の人間関係のリアルが上手く表現されていると思いました。
小学校時代に事件に関わった人々や高校から関わった人々、
皆が内側に悶々とした晴れないものを抱えているのに、
行動や関係性はうまいこと行ってしまう感じで。

小学校時代はまるで相容れなかった将也と硝子はまるで恋人みたいになるが、
やっぱり過去の違和感を捨てられない将也の感じは実にリアルだと思いました。
人間って等身大はこんなもんですよね。

一人、やっぱり硝子をいじめていた女子の悪っぽいリーダーの子がいますが、
この子の存在がまたリアルだと思いました。
障害を持っているのにとことん健気で自分が悪いと言うスタイルの元、
決して他人を責めずな硝子のそういう態度が周りを困らせているという指摘はグサッと来ました。

障害を持つ姉を必死に守る強気な妹、孤独な将也と馴れ馴れしくも必死に支える友人。
そういう人々がきっかけや人間関係の空気を作っているのもまたハイセンスな描写でした。

手話もふんだんに使われてて、自分世代だと愛してるといってくれで少々手話を覚えましたが。
登場人物たちの仕草だけで声とか聞こえない演出など印象的で良かったです。

チョイチョイ感動する場面もありましたし、心が悲しくなるような言動もありました。
明白な起承転結もなく少しずつ良くなったりならなかったりは見事です。
そして叙情的なクライマックス。
この手の物語を完結させるには理に適っていました。
何とも言えない感情がビシビシと刺激されました。

ただ、いじめられっ子の硝子ちゃんが可愛すぎますね。
この子の可愛さが物語の重要な要素なのは確かです。

自分世代としてはまるで金八先生を観ているかのような、
若者たちのリアルで繊細なイデオロギー闘争でした。
思っていたアニメと全然違って非常にハイセンスで素晴らしかったです。


そんなわけで8点。
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