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少年は残酷な弓を射る

2012年07月11日 | 映画
少年は残酷な弓を射る を観た。


エヴァ・カチャドリアン(ティルダ・スウィントン)は家や車に落書きされて薬や酒で眠るどん底な暮らし。
旅行代理店の事務のバイトが決まるが町の人々の彼女に対する態度は厳しい。
彼女は夫フランクリン(ジョン・C・ライリー)との出会い、そして授かった息子ケヴィンの事を思い出していた。
生まれた時から自分と二人きりだと火がついたように泣くケヴィン。
幼少期も自分の言葉に反応しないので耳の病気を疑ったり。
少年期はオムツも取れず、母に反抗的で且つ狡猾になっていく。
青年になったケヴィン(エズラ・ミラー)はアーチェリーに興味を持ち、より母に反抗的で狡猾になる。
妹も授かりそれなりに暮らしていたエヴァは何故今ひとりなのか?


ってお話。

重厚で台詞が少なく、いかにもな空気感の映画でした。
物語は回想が多く、時系列がバラバラで色んな情景が断片的に描かれ観客は想像ばかりさせられる手法です。
パズルのように徐々に組み立てられる、かつてのクリストファー・ノーラン作品的な手法です。
映像もストーリー進行とはあまり関係ない陰鬱な象徴的なものが多かったです。

それとは別に音楽が妙に優しかったり陽気だったりするのが余計物語の深刻さを表していたように思いました。

まさに三つ子の魂百までって感じで、生まれた時からずっと反抗的な息子ケヴィンとのやり取り。
きっかけも無く最初から悪のケヴィン、絶対悪のお話って印象です。
ケヴィン役のエズラ・ミラーは表情もキャラクター設定もジョジョの奇妙な冒険の登場人物みたいでした。
ためらいなく悪を実行する行動力とか狡猾さとかがそんな感じです。
弓矢を使うスタンド使いです。
ディオを彷彿とさせました。
とことん母が嫌がることをするけど時々子供らしく振舞って母を喜ばせる。
母は息子に恐怖を感じながら同じ屋根の下で暮らす。
よくよく考えると結構恐ろしいサスペンスですね。

ケヴィンは赤ちゃん、幼少期、少年期、青年期があるので4人の子が演じるのですが、2番目の2、3歳くらいを演じてた男の子、めっさ可愛かったです。

ティルダ・スウィントンはかわいそう過ぎて同情してしまいましたね。
彼女にはあまりに残酷な仕打ちですね。
ただ悪な子供を産んでしまった、逃げずに向かい合ったのに報われない。

冒頭から断片的に何か大事件のフラッシュバックの映像が入りますが、パズルの完成のように色んな場面を経由して最後はそこに向かっていきます。
その温度感はなかなかいい感じでした。

ちょいとネタバレ気味になりますが、
普通こういうタイトルってなんかの比喩だったりするんじゃないの?
タイトルまんま、少年が残酷な弓を射ってどないすんねん!的な気持ちでした。

序盤から、シーンとした意味深映画だったので嫌な予感はしてましたが、ラストはやっぱり極度に意味深で観客に答えは与えてくれませんでした。
心を研ぎ澄まして察しろ的な終わりでした。
なのでで観終わった後は暗い、重たい気持ちになりました。


そんなわけで6点。


これといって欠点のない高品質な映画でした。
しかし邦題がね・・・。
タイトルでネタバレさせちゃ駄目だと思うのです。

僕なら「魔少年ケヴィン」にします。

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