メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

アド・アストラ

2019年09月24日 | 映画
アド・アストラ
を観ました。


時は近い未来。宇宙飛行士ロイ・マクブライドは、地球外知的生命体の探求に人生を捧げた科学者の
父クリフォードを見て育ち、自身も宇宙飛行士の道を選ぶ。
しかし、父は探索に出発してから16年後、太陽系の彼方で行方不明となってしまう。
だが、父は生きていた──ある秘密を抱えながら。
父の謎を追いかけて地球から43億キロ、使命に全身全霊をかけた息子が見たものとは──?


ジェームズ・グレイ監督作品です。

宇宙を舞台のSFアクションと思いましたがかなり想像とは違う映画でした。
かなり作家性の強い作風で娯楽作品を望んで見に行った人には期待はずれとなるでしょうが、僕には大好物な作品でした。

近い作品はいくつも思い浮かびましたが、
シン・レッド・ライン、ツリー・オブ・ライフ、メランコリア、ゼロ・グラビティ、2001年宇宙の旅、とかでしょうか。

映像は凄くて冒頭から度肝抜かれますが、ずっと心の声をつぶやく孤独のグルメ式で。
2時間の詩を観てる感じです。
とても深く哲学的な内容です。
人によってはかなり退屈で催眠作用にもなりうるようなタイプの物です。

通常の映画では盛り上がりポイントであろう展開や場面でも淡々と進んでいきます。
なかなかエライコッチャな展開でも淡々と主に独り言の中で見せてい行きます。
非常に主観的でブラピ演じる主人公に自己を投影していくような作品でしょう。
なので襲われたりするシーンなどは結構独特の怖さがあります。


コミュニケーション苦手で神経質なのに海外を一人ぼっちで長いこと放浪していた時の自分もこんな感じだったので。
哲学的な自問自答は自分も何度も何度もしていたのでとても共感しました。
ちょっと先の未来って設定ですが、シームレスに宇宙旅行していく感じで。
月、火星を経由して冥王星を目指す工程を大きな省略もなく一本の線で描いている感じはなんか良かったです。
宇宙旅行の疑似体験に近い感じがありました。

その分、帰り道はエグいほどに省略されていましたが。

個人的にはかなり好きなタッチなのですが、このタッチで描く作品ならばもっと深いテーマが欲しかった気がしました。
それなりの苦悩や哲学を深みがあるように見せているって印象だったので。
その逆で、難解で深すぎる哲学をギリギリ人に伝わる感じで見せる、って感じが理想でしたかね。
作風や深みの割にテーマの印象は弱かったかなと思いました。

とことん、絶望的な孤独の描写は手塚治虫的で凄い良かったです。
もし叶うならば手塚治虫に今こういう映画があるってことを伝えて見てもらいたい気持ちになります。

主演のブラッド・ピットは彼史上最高の演技、みたいな触れ込みですが。
それも間違いでは無いと思います、誇大広告では無いと思います。
まあ、今までとは違う新しいブラッド・ピットという感じでしょう。
今までに無い超クールでポーカーフェイスで寡黙な演技で新しい引き出しでした。

トミー・リー・ジョーンズが主人公が探す父親役でしたが。
なんか存在自体がとても悲しくて、切ないキャラでした。
皆に憧れられる宇宙飛行士でありながら本人は壮大な夢があり変わってしまうという。
おじいさん宇宙飛行士らしい良い演技でした。

ドナルド・サザーランドが父親の友人として主人公に関わってくる人物でした。
こちらもかなり老いましたがいい味出しますね。
敵か味方かなキャラでなかなか掴み所がないキャラでした。

ルース・ネッガが唯一くらい主人公に味方するような謎めいた女性でした。
ラビングはとても好きな作品でとても良い印象です。
今作も独特の存在感を放っていて今後も活躍が期待されます。

主人公の妻役がリヴ・タイラーでした。
記憶の中で振り返る時に出てくるので基本的に幻想的で幻影のような出方でした。
久々に見た気がしますが、変わらず美人ですね。

想像したような映画でしたがこの手の作品は劇場で見るに最適です。
2時間の疑似宇宙体験でした。


そんなわけで7点。

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