ナイル殺人事件

ナイル殺人事件
を観ました。


大富豪の美しき娘の新婚旅行中に、クルーズ船内で起きた連続殺人事件。
容疑者は、結婚を祝うために集まった乗客全員…。
豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか？ そして、ポアロの人生を大きく変えた≪衝撃の真相≫とは？
愛と嫉妬と欲望が複雑に絡み合う、禁断のトライアングル・ミステリーの幕が開く。


ケネス・ブラナー監督・主演です。
アガサ・クリスティ原作の有名ミステリーです。
自分は読んだことは無く名前を知ってるくらいです。

いざ見てみると非常に極上のミステリーです。
移動してるクルーズ船内とはいえ妙に閉鎖的な世界観や印象的な乗客たち。
軋轢を生む結婚をしたクルーズの主役たち。
その全てが極上のミステリーを彩っていました。

原作のナイルに死すは1937年出版、85年前の作品です。
ミステリーって何周もしてあるあるに満ちていますがこういう作品が元祖なのでそこはツッコむのは野暮でしょう。

冒頭には名探偵ポアロの若い頃の描写があり良い導入でした。
本編にはあまり関係無かったのでおそらく若い頃から鋭くて賢く、そしてとても辛い目に遭っているということを示したのでしょう。

とある男女が結ばれて結婚していく描写から不穏な展開へ。
ある一面では幸せ満載なのにそれを邪魔しようとする女、今で言うストーカーなのでしょうが当時はそういう概念が無かったようです。
ただつきまとう怖い女が事件を起こしそうでヒヤヒヤしていく中でジャブのような未遂事件。
そして遂に殺人事件が起きてしまうというわかりやすく丁寧な展開。

事件が起きた時や要所要所でツッコミたくなるような、なんでそんなことを？って思う登場人物たちの行動がありますが。
そこが解決編でちゃんと回収されていたのは見事でした。
昔の物語だから仕方ないかと思いきや、名作ミステリーだけあってちゃんと説得力ありました。

ポアロが適度に判断ミスを犯すのも良いですね。
それによって乗客たちがポアロに不信感を抱く感じが良かったですね。

謎はそこまで複雑とは思わなかったのですが、登場人物たちの過去も大きく絡み合っていて。
犯人を目撃して知っているのに隠している人を捕まえるというステップも感心しました。
かなり複雑なトリックや動機でしたが、解決編でわかりやすく描写してくれて上質でした。
移動するクルーズ船という開放的のようで密室のように閉鎖的な雰囲気なのも良いです。

いつか時間を見つけて原作を読んでみたいですね。

主演のポアロはケネス・ブラナーです。
監督・主演だけあって作品への愛を感じて世界観の説得力が十分でした。
原作を知らない自分としてはもうコレがポアロなのだろうなとしか思えなかったです。
非常に賢いのですが完璧人間という感じじゃなく適度に人間味があるのが良かったです。

ヒロイン的な新婦役をガル・ガドットが演じていました。
ワンダーウーマン役があまりに印象的ですがワンダーウーマン好きとしてはこのキャスティングは嬉しかったです。
美人富豪でぴったりな役どころでした。

新郎役をアーミー・ハマーが演じていました。
個人的に高評価した作品に良く出ているので好みの俳優です。
ちょっと間抜けにも見える役でしたがルックス的にも作品によくあっていて良かったです。

ストーカーする女性をエマ・マッキーが演じていました。
どこかで見たことある女優さんと思いましたが多分初めてみたいでした。
なかなかインパクトありました。

ポアロの友人役をトム・ベイトマンが演じていました。
オリエント急行殺人事件にも出ていましたね。
今作でちょっとショックな展開がありなかなかのインパクトでした。

王道ミステリーを味わいたい時には最適の極上ミステリーでした。


そんなわけで8点。