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「ごらん、世界は美しい」

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流浪の月

2022年06月05日 | 映画
流浪の月
を観ました。


帰れない事情を抱えた少女・更紗(さらさ)と、彼女を家に招き入れた孤独な大学生・文(ふみ)。
居場所を見つけた幸せを噛みしめたその夏の終わり、文は「誘拐犯」、更紗は「被害女児」となった。
15年後。偶然の再会を遂げたふたり。
それぞれの隣には現在の恋人、亮と谷がいた。


李相日監督作品です。
深刻な作品を作らせたら現代のトップクラスだと思います。

社会的には誘拐犯と誘拐被害者という関係性、当人たちは孤独で行き場の無い関係性を埋める関係性という。
大きな誤解を抱えて両方を見れる観客にはなかなかストレスなストーリーですが。
何故か松坂桃李演じる誘拐犯とされた男が一切語らず誤解をされたまますべての罪を受け入れるので厄介でした。
見ていて終始とても苦しく悲痛で、お願いだから真実を伝えてくれと思いました。

広瀬すず演じる主人公の幼少期のシーンと現在のシーンを上手く融合してセリフ量にまさるわかりやすさがありました。
こういう見せ方は好みで上質だと思います。
映像の質感やロケーションも非常に良い世界観でした。
狭い世界の二人ぼっち感はとても引き込まれます。

結構長尺の映画ですが、その殆どが最後のフリになってる気がしました。
いつ軋轢は解消されるのだろうか?いつ報われるのだろうか?と悶々としながら見てましたが。
ひょっとしたらこのまま悶々と終わるパターンか?とも思いつつ。
クライマックスの重要な部分は何か衝撃的でしたがよくわからなかったです。
自分の知識不足かもしれないと思ったので帰ってから調べました。

主演は広瀬すずでした。
怒りと同じ李相日監督とのタッグで同じように重い役でした。
序盤から濡れ場で広瀬すず史上でもトップに体を張っててドキドキでした。
デビュー作からずっとリアルタイムで観続けているので少々複雑な気持ちを抱きつつ良い女優になったなぁとしみじみ。
暴力を振るわれボロボロになるシーンなど、よく事務所も本人も受けたなって思ってしまうほど。
見た目は最高に可愛いですがそれを良い感じに演技にや役作りに還元していてまだまだビッグになる気がします。

誘拐犯役を松坂桃李が演じていました。
寡黙でとことんミステリアスでかなりいい雰囲気出してました。
役作りでガリガリにもなってて役者って凄いなと思いました。

広瀬すずの彼氏役は横浜流星でした。
ちょっと目盛り強めの演技が多く苦手なこともありますが、今作はそれが良い風に出ていました。
最初は普通にいい彼氏かと思いきや徐々に不穏になっていきめちゃくちゃ悪い男になってました。
最終的にはかなり病んだ役で。
最近悪い役もやるようになって役者としての幅が広がっていて良いと思います。

松坂桃李の彼女役は多部未華子でした。
ごく普通の女性で観客が感情移入しやすいキャラでした。
真実を知らないまま主人公たちに振り回され結構切ない存在でした。

広瀬すずの同僚を趣里が演じていました。
ちょっとガサツでいい人のようで奔放過ぎるのが彼女のキャラによく合ってました。
勧善懲悪を越えたいいキャラでした。

広瀬すずのバイト先の店長を三浦貴大が演じていました。
この人はどんな人なんだろう?という目線でみてしまいましたが、この作品の中で一番いい人だった気がします。
役作りなのか最近の彼のままなのか、かなりふっくらしててそれはいい感じに思ってしまいました。

広瀬すずの子役時代を演じた白鳥玉季がかなりいい感じでした。
見た目もどことなく似ていましたし、悲壮感たっぷりの演技も素晴らしかったです。

ゲスト出演のように柄本明も出ていていい雰囲気出してました。

ちょっと重いですが心にぐっとくる秀作でした。


そんなわけで8点。

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