メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

ミッドナイト・ドライブ

2005年05月18日 | 思い出
免許を取りたての頃、よく意味もなく夜中に一人、車を走らせてあちこちに出掛けたものだ。
憂鬱な気持ちの時、悲しい気持ちの時、夜中のドライブが処方箋のように良く効いた。

僕がひいきにしていたのは鎌倉や江ノ島やらそこら辺。湘南の海岸沿いの道路はたまらなくよい。あそこは昼に走ってもよい。普段は全然聞かないサザンやFMヨコハマなんかをカーステレオから流しながら走ると、それはもはや言葉にする必要のない程の情緒であった。夕暮れ時のオレンジに染まった海を見ながら走る。海岸沿いの道路はいつも混んでいて、わき見運転ができる。サーファーたちが清々しげに歩いている。母の背中におんぶされていた頃みたいな優しい気持ちが蘇えるのだ。窓を開け、あえて風に髪をなびかせたりしちゃって。心も風に乗せちゃって。
そんなドライブ。一人でよく、一人がよかったもんだ。

シーズンオフの江ノ島あたりなんかも夜中によく行った。浜の近くに車を止め、砂浜をカメラ片手に歩いた。人気を無くし、まるで廃墟の様な海の家とかに勝手にあがりこみ、遠い思い出みたいな、なんともいえない寂しさにひたったものだ。夏に馬鹿みたいに人は居たくせに、冬には観光の欠片も無いくらいに見捨てられている。その海の空気感が僕は好きなのだ。たとえ誰が居ようとも、たとえ誰も居なくとも、波は寄せては返し、寄せては返し。砂時計が砂に埋もれても、海の上には星空が輝いていた。幾億人もの記憶を奏でるみたいに。あー自然の力には及ばない。
車に戻り、助手席に乗せた我が愛するギターなんかを奏でて。
そんなドライブ。一人でよく、一人がよかったもんだ。

冬の空気が良く澄んだ夜には箱根や足柄の方面の山道をドライブした。夜の山道は想像より遥かに深く暗闇をたくわえ、僕の運転する車のヘッドライトなんて、あっというまに飲み込まれていった。林の真ん中を走ると、空気が綺麗で、少し寒いが窓を開けるとマイナスイオンが車内に流れ込んでくるのが見えた。ちょいとひらけた場所に出て、車を止める。外に出てタバコを吹かす。寒いから車に入り、シートを倒し窓の外を見る。山だけあってやたらと星が綺麗で、たまに流れる。車がほとんど通らないために、たまーに通ると少し怯えた。カーステレオからは僕の大好きな番組、ナインティナインのオールナイトニッポンを流して。たまらない情緒だった。
そんなドライブ。一人でよく、一人がよかったもんだ。

「闇は孤独を包む貝殻さ」

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