メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

6月の雨の夜、チルチル・ミチルは

2010年06月28日 | 音楽
6月の雨の夜、チルチル・ミチルは
からの鳥かご下げて死の国へ旅立った
ゆうべのままのこのぼくが
朝日をあびてまだ起きている

半ズボンはいたチルチルは 2人の子供のお父さん
そのチルチルにさそわれて
ミチルは生まれ育った町を出た

会話をとぎれさせまいと
わざと明るいお店を選ぶ
4人が作る沈黙の中で
6月の雨の池ができ上がる

6月の雨の通りを 今夜は歩く人も少ない
生ぬるくなったビールの中で
雨がポチャリと音をたてる

ポケットの中の車のキーを
まるっこい手で握りしめながら
車をホテルに預けてきたからと
ミチルに勘定を払わせる

もう会えないと思うからと
ぼくに一曲うたわせる
それほどよくはうたえなかったのに
最高最高とチルチルは言う

もしも死にに行く人になら
いい思い出だけにはなりたくない
そう思いながらも手を振って 黒い車を見送った

知らないことでまんまるなのに
知ると欠けてしまうものがある
その欠けたままのぼくの姿で
雨の歩道にいつまでも立っていた

6月の雨の夜、チルチル・ミチルは
からの鳥かご下げて死の国へ旅立った
ゆうべのままのこのぼくが
朝日をあびてまだ起きている



from友部正人



6月の雨の夜、チルチルミチルは
クリエーター情報なし
インディペンデントレーベル

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。