メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

第七話 聞茶?

2006年08月25日 | LAWSON CALLING
---数年前僕はとあるコンビニエンスストアの深夜バイトをしていた。
住宅街にあるコンビニだからそれほど客は多くない。
毎日同じ客が同じものを買ってく、そんなコンビニだった。
深夜1時から朝9時までの間、店員は僕一人だけだった。
断っておくが僕は反社会的な思想を持っていた。---

当時、どこぞのメーカーから聞茶というお茶が販売されており、それなりに売れていた。

僕の働くコンビニはL字のレジの横の部分にホットドリンクのケースを置いて売っていた。
ホットドリンクのケースの扉はレジ側ではなく客側にある。
裏からでも体と手を伸ばせば取れなくはない。
裏側も開くしそこからも取れる。
しかし入れたての缶などもあるのでやはり客側から客自身に取っていただく。

それが店のシステム。

しかし世の中アホは想像よりちょいと多い。

レジに商品を持ってきて「あと○○コーヒー」みたいな事を偉そうに言う奴が後を絶たなかった。
俺はそんなん言われるとすぐカチンとなる。
よく見ろ!よく見ろ!と、心の中で怒鳴る。

ある日K君と二人でレジに立っているとそんなアホが現れた。

その一部始終、ヒーウィーゴー。

アホ「これとー・・・あと、闇茶」
俺「はい?」
アホ「そこの闇茶!」
と指差す。
アホは明らかに「ヤミチャ」と言っている。
その時点で俺は聞茶(キキチャ)なのは百も承知なのだが、あえて戸惑いぎみに「何を言っているんですか?そんなお茶しりませんよ?」みたいな顔を作る。

なぜならば俺はドSだから。

アホ、もう一度「そこの一番下にあるヤミチャだって!」
俺、諦めて取ってやる。
アホ、お会計を済ましイライラ顔で帰って行く。
K君「何だよあいつ!ヤミチャなんかねーよ!」
実に素直な突っ込みだが、俺と同じ感情を抱いていてくれたことと、そのあまりに素直な突っ込みがおっかしくて笑ってしまった。

「おっさん、あんたダブルビンゴだったぜ」と、俺は少し晴れやかな気分になった。

ちなみにその後、「あと○○コーヒー」みたいな客が来たときは俺はわざわざレジを出て客の後を回り、これ見よがしにコーヒーを取り、またレジに戻るという無言の指導をしていた。

なぜなら俺はドSだから。

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