メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

あん

2015年07月16日 | 映画
あん を観た。

縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎(永瀬正敏)。
そのお店の常連である中学生のワカナ(内田伽羅)。
ある日、その店の求人募集の貼り紙をみて、そこで働くことを懇願する一人の老女、徳江(樹木希林)が現れ、どらやきの粒あん作りを任せることに。
徳江の作った粒あんはあまりに美味しく、みるみるうちに店は繁盛。
しかし心ない噂が、彼らの運命を大きく変えていく…

って話。


何か上映規模小さいし、わざわざ見なくてもいいかな・・・と思っていましたが。
まー名画でした!

今まで観たことが無い気がする河瀬直美監督作品です。

原作はドリアン助川でした、久々に名前を聞きました。

まあ、本当にいい映画でした。
最近観た中じゃ一番涙が流れた気がします。
もう気がついた時にはすーっと涙が落ちてました。

どのシーンを切り取っても素晴らしい写真になりそうなほどの映像美でした。
是枝監督と比較しても遜色ない美意識の高さが良く伝わりました。
アップのシーンが多くて画面のどこかに、
手前か真ん中か奥かにピントがあっていて。
なんとも温度感のある映像を作っていました。

散々名演を見せてきた樹木希林の中でも、
本当にトップクラスの素晴らしい演技でした。
ハンセン病を隠している隔離施設で暮らすおばあさんの役でしたが。
可愛らしいしユーモラスだし。
深くて真理に満ちた台詞ばかりで。
コレが賞レースで目立たなければ納得いかないですね。

主演の永瀬正敏も本当に素晴らしかったです。
最近ちょっと昔みたいな価値なくなって来てる感じもありましたが、
全然カッコイイです、真のオシャレです。
孤独で影のある雰囲気に満ち満ちた男を見事に演じていました。

そして衝撃的だった内田伽羅。
スーパーサラブレッドなイメージはありますが、
DNAを超越するくらいの素晴らしい存在感です。
恐らく未来の日本映画を背負っていく大女優になるのではないでしょうか?
山田洋次監督に使われるんじゃないでしょうか。
そんなに可愛いわけじゃないですが、この年齢でこのナチュラル系演技は恐るべし。
もう引き込まれてしょうがないです。

このメインの3人が本当に素晴らしくてかなり入り込んで観てしまいました。

それ以外の脇役も素晴らしかったです。
どら焼き屋にたむろするちょい役の中学生たちもかなり可愛かったので要チェックです。

出番少なめでしたが市原悦子の演技も相当素晴らしかったです。
コレも賞レースにノミネートされていいと思います。

芸術性の高いハイセンスな映画でいてハンセン病差別という非常に大きなテーマも含んでいて。
堪えるまもなくボロボロと涙が落ちた名画でした。

秦基博の主題歌も初めて聞いたのに泣けるくらい名曲でした。
何か諸々奇跡のような映画だと思いました。

映像美や演出のセンスを含めとにかくハイセンスな名画。
河瀬直美監督、才能に満ちた人間という発見が出来て非常によかったです。


そんなわけで9点です。


この映画に出会えて良かったと心底思いました。

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