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祈りの幕が下りる時

2018年02月09日 | 映画
祈りの幕が下りる時
を観ました。


東京都葛飾区小菅のアパートで女性の絞殺死体が発見される。被害者は滋賀県在住の押谷道子。
殺害現場となったアパートの住人・越川睦夫も行方不明になっていた。
やがて捜査線上に浮かびあがる美しき舞台演出家・浅居博美(松嶋菜々子)。
しかし彼女には確かなアリバイがあり、捜査は進展しない。
松宮脩平(溝端淳平)は捜査を進めるうちに、現場の遺留品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることを発見する。
その事実を知った加賀恭一郎(阿部寛)は激しく動揺する。
それは失踪した加賀の母に繋がっていた――。
加賀恭一郎“最大の謎”がついに明らかに。


東野圭吾原作の新参者シリーズの新作です。

福澤克雄監督です。
ドラマなどの活動の印象が強いですね。

新参者シリーズは毎度非常に深く面白いので期待していましたが、相変わらずのクオリティでした。
と言うかとにかく物語のクオリティが凄すぎますね。
原作は読んでいませんが、よくこんな物語が思いつくな、ってくらいのボリュームです。

複雑で幾つもの謎が絡み合い、現在と過去も絡み合い。
解決と思われた推理が外れたりすることもあり。
かなり集中して観ていないと置いて行かれそうなくらいです。
受験時代の化学の問題を問いている時みたいな能の動き方でした。

こんな複雑な物語を一体どうやって考えているのでしょうか?
そしてよくこんな複雑な物語を映像化したな、と感心しました。
まず自分ならこのボリューム感は二部作にしたいと思うところですが。
よくこの尺で描ききったな、と思いました。
このスピード感で理解するにはギリギリの詰め込み感でしたが。

この映画はジャンル分けするならば東野圭吾らしい、感動ありきのミステリーなので、
本来ならばもっと時間かけて感情の要素を描いた方が効果的だとは思いますが。

そんなわけで過去から現在へ、そして加賀恭一郎の人生に大きくまつわる事件でしたが、
こんなに主人公にまつわるエピソードがよく今更出せるな、とその引き出しの余力感は凄いです。
そしてとにかく悲しい真相でした。
新参者シリーズは毎度悲しいですが、今作はその最たるものでしたね。
大体、東野圭吾モノは古典的な悲しい殺人事件を扱う事が多いですが、こんなに悲しい殺人は無いですよ。

ひねくれな自分がよく思うことですが、今現在も時間は流れ続けているのであらゆる映画は何かの一部を切り取ったという前提なのですが。
こういう事件に後日談があるとしたら、この殺人犯は罪に問われないのでは?
情状酌量がえげつないくらいされるのでは?
と思えるくらいです。
正当防衛とかでは無いですが、許してあげてよ、とは思えるでしょう。

この作品のひとつの良さとして日本橋付近の情景描写があると思いますが、今作もそれは素晴らしいですね。
近所なのにそんなに行かないエリアですが、コレ見ると行きたくなりますね。
一日散歩とか出来そうなエリアですね。

主演は変わらず阿部寛ですが、いい塩梅だったと思います。
彼の人生にまつわるエピソードなのに意外と出番が少なめというか、消えている時間があってそれが良かったです。
そして悲しい真相にかつて無いくらいの人間味が出ていました。

ゲストキャストのメインは松嶋菜々子でしたが、納得のキャスティングですね。
演技は相当上手だし見事なキャリアの重ね方している気がします。
かつて観たこと無いくらい、迫真の演技でした。

その若い頃を好みの飯豊まりえが演じていましたが、意外とマッチしていました。
口元とか結構似てて萎えない程度のキャスティングでした。
悲しい演技が必要でしたが、非常に上手くこなしていました。

更に若い頃を演じていたのだ桜田ひよりですが、この世代の演技派代表だと思いますが。
一番素晴らしかったかも知れません。
めちゃくちゃ悲しみを表現しなければならない難しい役どころでしたが、
最上級の泣きの演技をしていましたね。
将来、ビッグな女優になる気がして仕方ないですね。

相棒の溝端淳平が今作は何故かタメ口で加賀恭一郎と絡んでいました。
何かちょっとイケメン度が下がってきた気がしますが、好みの役者です。
差し支えない役どころを妥当にこなしています。

小日向文世が出ていましたが、コレまた素晴らしい演技してましたね。
小日向文世の力をここまで引き出してここまで頼った作品も珍しい気がします。

エンドロールでは過去のキャストがゲスト的に沢山でていて嬉しかったですね。

ここまで見ごたえのあるミステリーはそうそう無いですね。
流石の新参者シリーズだと思いました。


そんなわけで8点。

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