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約束の宇宙

2021年04月22日 | 映画
約束の宇宙
を観ました。


フランス人宇宙飛行士のサラ(エヴァ・グリーン)は、ドイツの欧州宇宙機関(ESA)で、長年の夢だった宇宙へ行く事を目指して、日々訓練に励んでいる。
物理学者の夫トマス(ラース・アイディンガー)とは離婚し、7歳の幼い娘ステラ(ゼリー・ブーラン・レメル)と2人で暮らす彼女は、「プロキシマ」と名付けられたミッションのクルーに選ばれる。
大喜びのサラだったが、このミッションに旅立てば、約1年もの間、娘と離れ離れになる。
ステラを残し宇宙へ飛び立つまでに2ヶ月しかない。
過酷な訓練の合間に、娘は母と約束する「打ち上げ前に2人でロケットを見たい」と。
母は約束を果たし、無事に宇宙へ飛び立てるのか。


アリス・ウィンクール監督です。
フランス映画やヨーロッパ映画は定期的に摂取しないと生きられないので見に行きました。
テーマ的にもう少しハリウッドっぽい映画も想像しましたがかなりフランス映画っぽい作品で嬉しい誤算でした。
非常に女性監督らしいテーマと作風でした。

幼子を持つシングルマザーながらも宇宙飛行士の夢を叶える女性の葛藤や困難をいかにもフランス映画らしい静かでハイセンスなテイストで描いています。
夢に向かう高揚感もありつつそれを上回るくらいのネガティブ要素。
男性社会で戦う不遇や孤独感、離れ離れの娘との関係性。
ベタになにか事件が起きたりするわけじゃなく実に現代社会的な困難でした。

宇宙飛行士の訓練のしんどさや人間関係の難しさや憂鬱さみたいなもの描いていて斬新に感じました。
凄く振り切った感情でのやり取りがありますが、自分が苦手とする感情的なやり取りはあまりなくて。
そういう感情をいだきながらのやり取りは見てるこっちも感情を揺さぶられて非常に上質でした。

主人公は宇宙飛行士でも切り取ってる部分は誰でも共感できるようなリアリティさがあって。
母の立場、父の立場、子供の立場、同僚の立場、男の立場、女の立場、どれかには共感できるような作品でした。
誰でも昔は子供だったのでこの子供のわがままに見える感情も理解できるでしょう。
あちこちにストレスはありますがポジションによってそれぞれの思想や意見が違うのは当然なので、
単純な勧善懲悪なお話ではなくて良い考察をいただきました。

終盤の母子のやり取りにはぐっと来て泣きそうでした。
母親だからといって夢を諦めなきゃいけない風潮をなくすべきという強いメッセージ性を感じられました。
バイタリティあってチャレンジ精神もあって子供も持つ人は本当に凄いと思います。
この辺は女性監督ならではという部分が全面的に出ていたと思います。

映像も綺麗で派手な音楽も無く良い緊張感を生む演出は上質でした。
音楽は坂本龍一が担当していて嬉しかったです。

主演のエヴァ・グリーンはボンドガールの印象が強いですが。
フランス映画に出るとめちゃくちゃフランス映画ヒロインでした。
綺麗だし演技もうまくてかなりいい感じかなり好きになりました。

子役のゼリー・ブーラン・レメルはかなり可愛く演技も本格的で素晴らしかったです。

同僚をマット・ディロンが演じていました。
今作の中ではビッグネームなキャストですが流石の存在感でした。
セクハラ、モラハラ要素がありますが単純な悪役ではなくちゃんと一緒に宇宙を目指す仲間でした。

ザンドラ・ヒュラー、ラース・アイディンガーも泣けるいい演技してました。

女性宇宙飛行士の困難や偉大さを伝えるいい映画だと思います。


そんなわけで8点。

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