メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

田舎の医院にて

2005年05月30日 | 
ひどくどんよりと曇った空。
僕はトボトボと歩く自分の後ろ姿をコソコソと追いかけている。飴の舐めすぎで口の天井と舌が痛んでいる。
少し歩くと開けた田舎風景に辿り着き、そこを流れる小さな川沿いを行く。
人がどこにも見当たらない道を、さらさらと流れる川を見ながら歩く。
確か昨日ひどい腹痛に襲われ、意識を無くし・・・。
それで今朝目覚めてから僕は医者を探し歩いているのだ。
川沿いに小さな医院があることを何故か僕は知っていて、おそらくそこを目指しているのだ。
まもなく小さな林を抜けると一軒の建物が見えた。
3、4階建てで左右に長く、二つの建造物を入口のある真ん中の部分で繋いだような造りだ。全体的に最近流行りの和風テイストの小洒落た店のような装飾がほどこされている。
トタンでできた入口を開けるとバキバキと音が鳴った。誰かに聞こえたかもしれないと思い僕は前後左右上下を見回す。しかし人間の気配はまだ無かった。中はやけに埃っぽく生活の息吹は感じられなかった。
入口を入ると僕はまず左側の建物に向かった。そこは居住区らしく廊下部分は吹き抜けになっており、遥か上の方の天窓から差す明かりの筋の中を埃が舞っていた。
どうしたものかと僕がたたずんでいると、突然後ろの方からバキバキという音が聞こえた。入口から誰か入ってきたのだ。僕はなぜか慌てて階段の後ろに隠れた。二人の男が現れ何事もなく僕の隠れる階段を登り居住区に消えていった。
僕は一旦入口に戻り、今度は右の建物に向った。
すると目の前に医者の看板のかかった一室を見付けた。中に入るとそこは古い学校の保健室のような感じで、白衣を着た若い男がひとり机に向い座っていた。僕が症状を伝えるとその男は大して聞きもせずに僕をベットに座らせた。すると裏口からシーツを沢山抱えた別の男が入ってきて、そのシーツを無造作に置くとなにやら二人は口論を始めた。そしてそのまま二人は裏口から出ていってしまった。残された僕は少し困ったが、もう体の調子も悪くなくなっていたので気にしなかった。
その部屋には地下に続く階段があり僕はその階段を躊躇いも無く降りていった。
階段を降りるとそこはライブハウスのような天井の低い広いホールになっていて、ステージでは人気のロックバンドのライブが行なわれていた。僕は勢いよくその興奮の波に乗り、最前列まで行き、暴れた。もう思考回路が溶けるほど興奮して暴れ、やがて僕は人波の中に僕の姿を見失い白の中に消えていった。
頭の中でいつまでもその歌のフレーズが鳴っていた。
口の天井と舌がいつまでも痛かった。

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