メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

帰り道は何処だろう

2010年03月05日 | 
都心からほど近い山道を歩いていた。
いつしか迷子になったらしい。

まだ昼だし、天気もいいので別に焦りも無かった。
道も平坦で歩きやすい。

暫くすると右手の山側に大きな建設中の寺院のようなものがあった。
左手の少し低地になった場所には大きなお寺があった。
多くの僧侶がそこで生活をしているようだった。

これは思わぬ観光スポットに出くわしたと、僕は少し嬉しくなった。

少ないながらもここを目当てに来たと思われる人々も居た。
それはおじさんやおばさん達で若者は居なかった。

これは街も近いのだろうと僕は思った。
案の定、少し山道を下ったら閑静な住宅街に出た。

下校途中の高校生がちらほら居た。

こんな場所で行き先を迷ってる風の僕は迷子丸出しで、心配そうに見ている親子が居た。
僕は勇気を出してその二人に声をかけた。

優しそうなお父さんとおそらく高校1年生位の女の子。
制服が真新しかった。
「ここから歩いて行ける駅はありますか?」
すると父親が聞いたことの無い駅の名前を行った。
そこへは10分強で着くと言う。
しかしそんな駅に行っても何処へ行く電車がやってくるか分からない。
申し訳なさそうに、僕はもう一度質問をした。
「JRの駅はありませんか?迷子になって散々歩いたのでこの際もう1時間くらいは歩いても大丈夫なのです」
今度は娘の方が僕の真意を悟ってくれたらしく、僕の知っている駅の名前を言った。
そして歩き疲れているであろうと僕に、目の前にあるくたびれた金網に囲まれた広い敷地の説明をしてくれた。
「ここは国の施設です。でも管理がずさんなので私たちはいつもここに入って、休憩所に置いてあるお茶を飲んだりしています。良かったらここで休んでいったらいいと思います。」と言う。
僕は、ひょっとしたらこの子は僕に好意を抱いているのかもしれないとうっすらと思った。
父親もそうしたらいいと言ったが、僕は断って、教わった道を歩き出した。

そんなやり取りをしている僕らの少し遠くを男子高校生の集団が通り、こちらをちらりと見ながら消えていった。

そこには若い頃の自分も混じっていたような気がした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。