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ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち

2019年09月29日 | 映画
ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち
を観ました。


ヴィンセント・ザレスキ(ジェシー・アイゼンバーグ)と、従兄弟のアントン(アレクサンダー・スカルスガルド)は、ニューヨークで株の高頻度取引を進めるトレス・サッチャー社で働いていた。株の取引はミリ秒(0.001秒)単位の差で、莫大な損得が発生するので、ヴィンセントとアントンの会社もそのレイテンシー(遅延)を減らすべく、システムを構築することに血眼になっていた。トレス・サッチャー社では、マイクロ波タワーの建設や光ケーブルを計画中だが、巨額となる予算などに難航していた。
ヴィンセントが思いついたのは、カンザス州にあるデータセンター近辺と、ニュージャージー州にあるNY証券取引所のサーバーまで、1,600kmの直線距離に光ファイバーケーブルを敷くことだった。シカゴとニューヨークの間での最短アクセスが可能になり、大金をもたらすという仕組みだ。現在、17ミリ秒かかるアクセス時間を、16ミリ秒に縮めるだけで、このケーブルを使えば年間500億円以上の収益が見込めるはずだと、ヴィンセントは確信する。掘削とケーブル用のパイプ埋設のプロフェッショナルであるマーク(マイケル・マンド)とも手を組み、アントンと一緒に会社を辞めたヴィンセントは早速、ケーブルが通る土地を所有する、一万もの物件の買収に取り掛かった。
最初は不審に思った土地の所有者たちにも、高額の配当をちらつかせ、買収は順調に進んだ。水平掘削機によってケーブル敷設が進むが、直線距離で通過するアパラチア山脈は国立公園であるうえに、花崗岩を掘削するのが難しい。16ミリ秒を達成するのは不可能だと考えるアントンを横目に、ヴィンセントは大風呂敷を広げて政府にコネをもつ要人も説得。国立公園内を横断する掘削についての許可を取り付ける。
ヴィンセントとアントンが突然会社を辞めたことに、上司のエヴァ・トレス(サルマ・ハエック)は怒り狂っていた。ヴィンセントはともかく、ミリ秒短縮のアルゴリズム作成の天才であるアントンを手放したくないのだ。エヴァは退職後の彼らの行動を監視。カンザス/ニュージャージー間のケーブル計画を知る。0.001秒を短縮するために、ホテルの部屋にこもりきりとなったアントンの居場所も突き止めたエヴァが、ヘリコプターで乗り込んで来た。そして、かつて社内の重要コードを持って退職した元社員に対し、FBIの力も借りて「国家の脅威」の罪を着せ、8年も獄中生活を送らせたと、エヴァはアントンを脅迫する。
ようやくアパラチア山脈での大掛かりな掘削工事も開始されるものの、エヴァの仕業か、ヴィンセントが集めたスタッフが離れていき、追い討ちをかけるように、彼が胃がんで、余命は1〜2年の可能性が高いと宣告されてしまう。
それでもヴィンセントは何とか計画を完遂させようと掘削現場へ戻り、ケーブルも半分の距離は完成した。彼の病状を知らずに、アルゴリズムの作業を続けるアントン。そして、しつこく彼らの計画を潰し、あるいは奪おうとするエヴァ……。ヴィンセントが命をかけたケーブル工事は完成するのか? わずか0.001秒のために、熱にうなされるように人生のすべてを賭けた人々が迎える、その結末とは?


キム・グエン監督です。
初めてな気がする監督です。

IT業界で長年エンジニアをしてきた自分にはなかなか興味がありました。
予告を見る限り滑稽で無茶なプロジェクトをやろうとしたおバカな人たちって印象でしたが。
実際に見てみると結構本格的で全然説得力ある話でした。

行動力ある起業家とそれに従う従兄弟で天才的エンジニアが組んで高速通信を実現させようという話。
一番の目的は株取引で先手を取りたいからだが、光通信の精度を上げようというコンセプトは結局現在も続くテーマなので先見の明はあると思います。

ただアルゴリズムの思いつき方や、時間短縮につながる思いつきをするのはチープなドラマ程度の思いつきです。
生々しいリアルなトラブル、雇った人々との確執やら、環境的な問題。
何より従兄弟を引き抜いて恨みを買った商売敵との壮絶なビジネスバトルです。

結局ビジネスモデルは序盤にあっさり漏れてしまうのですが。
極秘プロジェクトっぽいのにレストランで普通に大声で喋っていればそれは何処かから漏れるでしょう。
その点で馬鹿が馬鹿をすることで転がるタイプの物語でもあります。

演出は基本的にヒステリックでかなりストレスを感じます。
ただそのヒステリックにも説得力があるくらいの熱量や状況になので後半は結構納得しながら見れました。
結構力技なドラマティック展開で次々と襲いくる困難に立ち向かいなかなか力が入り没入しました。

個人的に途中で出てくる農家とのやり取りがかなり印象的だったのですが。
それがちゃんとフリになっていて素敵な回収もありそれはかなり感動しました。

東京で働いていると1時間、1分もとても重要にみんなが急いで生きていて。
そのメタファーのような今作のテーマ。
光回線をより早くしたいと人生をかけることの、速度を追求することへの究極のアンチテーゼ、虚しさの提供は素晴らしかったです。
かなり記憶に残りそうな展開でした。

主演はジェシー・アイゼンバーグでした。
ソーシャルネットワークが出世作ですが、今作はそれに近かった気がします。
イケイケビジネスマンで情熱家で、それで弱気の病気のシーンも有り仕事や病気を通して人生の深みを悟っていく感じは良かったです。

主人公の従兄弟の天才的エンジニアをアレクサンダー・スカルスガルドが演じていました。
結構好みの約さですが今作はかなりクセの強いオタクなエンジニアでした。
天才エンジニアはオタクという設定は未だに生きているんだななんて思いました。
癇癪持ちな感じでなかなか極端なキャラでした。
最後に仕込んだ罠は痛快でした。

二人を支えるサポート役をマイケル・マンドがやっていました。
結局一番働いていたのは彼じゃないか?って感じで。
作品上はイマイチポジションが後でもこういうキャラが好きですね。

サルマ・ハエックがライバルの女社長で実に嫌味ないい味出していました。

思ったより見応え合って最後はジーンと感動しました。
一つの物語として全然ありだと思います。


そんなわけで6点。

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