メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

カツベン!

2019年12月26日 | 映画
カツベン!
を観ました。


子どもの頃、活動写真小屋で観た活動弁士に憧れていた染谷俊太郎。
”心を揺さぶる活弁で観客を魅了したい”という夢を抱いていたが、今では、ニセ弁士として泥棒一味の片棒を担いでいた。
そんなインチキに嫌気がさした俊太郎は、一味から逃亡し、とある小さな街の映画館<青木館>に流れつく。
青木館で働くことになった俊太郎は、”ついにホンモノの活動弁士になることができる!”と期待で胸が膨らむ。
しかし、そこには想像を絶する個性的な曲者たちとトラブルが待ち受けていた!
俊太郎の夢、恋の運命やいかに・・・!?


周防正行監督作品です。

社会派な作品もありますが、とある文化を深く掘り下げるコメディは秀逸ですね。
シコふんじゃったあたりからリアルタイムで観てますが、非常に素晴らしい映画文化を作ってきたと思います。
そんな周防監督が集大成的な、映画そのものをテーマにするような映画でした。

大正時代の映画の撮影風景な冒頭。
今では考えられない撮影風景ですが非常に説得力がありいきなりかなり心捕まれました。
当時はもちろん無声映画を撮っているので、役者たちはセリフもなく意味のない適当な言葉を喋りながら演技をしています。
口を動かしている演技があればOKという。
また多くのギャラリーもめちゃくちゃ大声で騒ぎ、ガヤを入れながら撮影を観ているという。
こういう論理的な歴史解釈は非常に見事ですね。

そしてイカサマ泥棒一味のやり口も非常に大正時代らしい手口だと思いました。

ちゃんと気質の仕事についてからは過去の人間関係の大きなトラブルを回避しながらのドタバタ劇です。
それでいて黒島結菜との恋模様です。
成田凌と黒島結菜という美男美女の恋愛模様は非常に見心地が良かったです。

周防監督ならではのかなりの豪華キャストがしっかりとキャラの強い役でいい演技をしていました。

成田凌はかなり好きな方の役者です。
見た目も演技も好きでファッションも好きですが。
意外とこういう大きな作品でしっかり主演というのが無い気がするのでとても良いキャスティングだと思います。
決して簡単ではない弁士のシーンは相当努力したのが伝わりとても説得力のあるクオリティでした。

大好きな黒島結菜はちょっと小悪魔要素もありつつそこまで行儀が良いって感じでもなく。
魅力的な女優らしい絶妙なキャラでした。

かつての人気弁士を永瀬正敏が演じていました。
昔はちゃんと人気弁士だったのに今は絵に書いたような飲んだくれダメダメ人間で。
全く仕事にならないのに、何故まだ雇われるのか?という状況でした。
そして弁士の演技はとても上手で流石のベテラン演技派でした。

高良健吾がヒーロー気取りの売れっ子弁士で。
想定外にめちゃくちゃ嫌味で悪い役でしたがとてもハマっていました。
高良健吾の新しい使い方をしっかりと提唱するあたりは流石でした。

音尾琢真が極悪人間で主人公を追い回す役でした。
近年はこうした典型的な悪役が多いですね。
トラブルを起こして物語を転がす重要な役でした。

周防ファミリーな竹中直人はいつもの竹中直人です。
喜怒哀楽わかりやすく言うまでもなく素晴らしいです。

田口浩正、徳井優のおなじみメンバーもしっかり存在感を放っていました。

竹野内豊がまるでルパンの銭形警部みたいに大クセの警察でした。
彼のこういうコミカルな役は好きです。

最近仕事控えめな井上真央が贅沢な使い方で出ていました。

池松壮亮、山本耕史、渡辺えり、小日向文世などの実力派は流石に作品を引き締めていました。

唯一無二な題材のチョイスの素晴らしさとそれをハイクオリティで表現する実力派流石でした。
面白かったです。


そんなわけで8点。

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