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空母いぶき

2019年05月25日 | 映画
空母いぶき
を観ました。


20XX年、12月23日未明。未曾有の事態が日本を襲う。
沖ノ鳥島の西方450キロ、波留間群島初島に国籍不明の武装集団が上陸、わが国の領土が占領されたのだ。
海上自衛隊は直ちに小笠原諸島沖で訓練航海中の第5護衛隊群に出動を命じた。その旗艦こそ、自衛隊初の航空機搭載型護衛艦《いぶき》だった。
計画段階から「専守防衛」論議の的となり国論を二分してきた《いぶき》。
艦長は、航空自衛隊出身の秋津竜太一佐。
そしてそれを補佐するのは海上自衛隊生え抜きの副長・新波歳也二佐。
現場海域へと向かう彼らを待ち受けていたのは、敵潜水艦からの突然のミサイル攻撃だった。
さらに針路上には敵の空母艦隊までもが姿を現す。
想定を越えた戦闘状態に突入していく第5護衛隊群。
政府はついに「防衛出動」を発令する。
迫り来る敵戦闘機に向け、ついに迎撃ミサイルは放たれた……。


若松節朗監督です。
自分にとっての青春、大好物のかわぐちかいじ原作作品です。
ただ今作の原作は読んでいません。

でも相変わらずの海を舞台にしていて空母や潜水艦が出てくる戦争ものです。
あ、戦闘ものです。
戦争と戦闘の違いが大きな意味を持つ物語でした。

一言で感想を言うならば胸アツな男たちの、自衛隊の戦いでした。

原作を読んでないのですがなかなか現代っぽい設定はかわぐちかいじらしからぬシーンもありました。
ただ主人公のキャラ設定が相変わらずのかわぐちかいじ作品らしい冷徹なようでハートがあるようで。
度々しびれさせられました。

国際社会の常識が通用しない架空の国家、というか連邦国家が一方的に日本に攻撃してくる緊張感です。
最初は偵察機がやられ嶋を一つ奪われ、取り返そうとする艦隊との衝突です。
極限状態で自衛隊の理念を守るために様々なイデオロギー闘争をしながらも目の前の攻撃に応対するという。

徐々に過激になっていく相手の攻撃、縮まる両軍の距離。緊張感はなかなかでした。
最初の反撃、こちらが数人の犠牲者を出した中で攻撃に来た戦闘機に対して。
ミサイルを迎撃して威嚇射撃で逃がすこともできる中
迅速な決断力で相手の動きを読んで艦長が静かに、そして強い意志を感じさせる
「迎撃せよ」
はかなりさぶいぼでした。
あの緊張感、高揚感の演出は見事です。

その後もなかなかしびれるシーンの連発でした。
流石のかわぐちかいじ原作なので精神面で解決みたいな露骨に子供向けみたいな展開は無いです。
ちょっと非現実的な痛快逆転劇はありましたが、基本的にはあくまで政治的な極限の戦いです。

国際法が通じない無法国家はどうしても日本人には北朝鮮って思えてしまいます。
例えば北朝鮮です。
既に現実でも韓国海軍との衝突はあったりしますが、万が一日本が北朝鮮とこういう状況になったら多分この映画みたいになるんだろうな、って思えるくらいのリアルさはありました。
政府のやり取りもなかなか生々しくて回りくどくて妙にリアルでした。

主演の西島秀俊はかなりかわぐちかいじキャラクターで説得力ありました。
ベストって思えるくらいハマっていました。
冷血で一見戦争を望んでいるような、人を殺すことをなんとも思わないようなキャラ設定です。
なので人間味を見せる度に効果的でした。

そのライバル的なポジションが佐々木蔵之介でした。
大学の同期でライバルで副艦長という立場で、好戦的な西島秀俊と極度な平和主義の佐々木蔵之介というコントラストです。
それでも稚拙な衝突では無く賢い人同士の政治的解釈の衝突なので見ごたえありました。

大好きな本田翼が抽選で選ばれ取材のために同情していた記者役でした。
いわゆる本田翼のキュートな魅力は無いですがこういうシリアスな役でもいいですね。
この子が発信する情報が影響を持ちすぎなのがちょっと違和感でしたが、近年の作品ではこの手のネットが世の中を動かす展開は多めですね。

その相棒的なポジションになるライバル社の記者を小倉久寛が演じていてなかなか斬新でした。
結構目立つキャラでしたがなかなか良かったです。

個人的には存在意義自体が謎なコンビニシーン、おそらく戦闘地域と社会の対比の要素なのでしょうが。
そのコンビニの店長を中井貴一がやっていました。
最近得意としてる感じの天然なポジティブキャラでした。
ちょっと強引なほど極端なキャラでした。

その店長をサポートする店員を深川麻衣がやっていました。
最近かなり急上昇で好きになっていますがそれに見合うペースでいい作品に出ていました。

ちょっと炎上して話題でしたが佐藤浩市はちょっと弱々しい面もあり毅然とした面もある総理大臣でした。
なかなか人間味があって良いバランスだと思いました。
見てない人がこの人物像を叩いているとしたらちょっと間違いだとは思います。

その他、玉木宏、戸次重幸、市原隼人、高嶋政宏、和田正人、堂珍嘉邦、山内圭哉、斉藤由貴などの豪華過ぎる脇役陣です。
主役級も脇役に沢山ですね、しかも出番少なめで贅沢な使い方でした。

劇場で観るにはなかなか胸アツな大作でした。


そんなわけで7点。

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