メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

浅草キッド

2021年12月11日 | 思想
浅草キッド
を観ました。


幻の浅草芸人と呼ばれた深見千三郎の下で修業を始めたタケシ。
やがて苦境に立たされる師匠と対照的に、タケシは人気を博してゆく。
芸人ビートたけしの誕生秘話。


劇団ひとり監督作品です。
ビートたけしさんの浅草時代を描いた同名小説が原作ですね。
原作を読んだことは無いですがひょうきん族世代なのでなんとなくの内容は知ってましたが。
自分が見てきたビートたけしのそれ以前のお話という感じでした。
前評判は良かったので期待値は高かったです。

当時の浅草の風景や文化や雰囲気などの再現度が見事で知らないのに凄いノスタルジックな気持ちにさせられました。
冒頭から丁寧な作りでかなり掴まれました。

東京下町の粋で不器用な人たちのやり取り。
どんなに悲しく複雑な状況も笑いに変えるしか出来ない人々。
哀愁の極地でずっとたまらなかったです。

登場人物の大半が悲しくてどのやり取りもどの人生も切なく見えました。

この作品にまつわる劇団ひとりの話を各所で聴いてしまったので彼の想いやその熱量はなんとなくわかります。
こういうのを聴くと評価にブレが生じるのであまり知らない方が個人的スタンスなのですが。
知らなかったとしてもそうだろうなとは思える内容でした。
そしてそれが見事に達成出来ているという感想でした。

主演のビートたけし役は柳楽優弥でした。
松村邦洋さんに指導を受けたらしく見事ななりきりでした。
日本一モノマネをされてきたたけしさんだと想いますが、これはモノマネとも違いなりきりの雰囲気が素晴らしかったです。
誰もが知っている、自分も若い頃見てたはずのたけしさんと違うのにそれと伝わるような。
顔の筋肉の動かし方など本当に自然で素晴らしかったです。
背中の哀愁もタップダンスも完璧で俺アカデミー賞主演男優賞ノミネートでした。

W主演の深見千三郎役を大泉洋が演じていました。
頑固で不器用な昔気質な芸人をさすがの演技力で表現していました。
この後に本物の映像を見ましたがルックスや喋り方は特別に似てませんが、本質は非常に表現してると思いました。
劇団ひとり作品との相性は良い気がします。

門脇麦がうっすら歌手を夢見るストリッパー役でした。
歌がうまくて才能があるのに一度ストリッパーとして見られてしまったらなかなかそれを覆せない悲しさを感じました。
影のある物憂げな雰囲気が作品と役にピッタリでした。

ビートきよし役をナイツの土屋伸之がやってましたがこれまた素晴らしい完成度でした。

日本映画史に刻まれる浅草の哀愁文化を強烈に描いた重要な作品でした。


そんなわけで9点。

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