幸福は今日も不在

何と無く過ごしやすい雨の降る日に
何と無く街を歩いてみるのだが
幸福は今日も不在だ

良かった思い出ばかりが
頭に張り付いて離れないせいで
幸福は今日も不在のままだ

普遍の存在を根拠も無く信じてきたせいで
僕は今、無理やり上げられたリングの上でサンドバッグみたいにボコボコ叩かれている
痛みとは結局のところ避けることなんてできず
ただただ慣れていくしか無いのだと
そう実感する

愛やお金で幸福に為れる程
世界がシンプルだったなら良かったのにと
逃避的思考が頭を埋める


人気も無い駅に立つ僕の上に絶え間無く雨粒が落ちてくる
それを見つめているもうひとりの僕がいる

台風が近づいている

夏の終わりという季節の下り坂
鼻歌を歌いながら下ってく

それはそんなに悪くはないと感じた