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テリー・ギリアムのドン・キホーテ

2020年01月26日 | 映画
テリー・ギリアムのドン・キホーテ
を観ました。


仕事への情熱を失くしたCM監督のトビーは、スペインの田舎で撮影中のある日、謎めいた男からDVDを渡される。
偶然か運命か、それはトビーが学生時代に監督し、賞に輝いた映画『ドン・キホーテを殺した男』だった。
舞台となった村が程近いと知ったトビーはバイクを飛ばすが、映画のせいで人々は変わり果てていた。
ドン・キホーテを演じた靴職人の老人は、自分は本物の騎士だと信じ込み、清楚な少女だったアンジェリカは女優になると村を飛び出したのだ。
トビーのことを忠実な従者のサンチョだと思い込んだ老人は、無理やりトビーを引き連れて、大冒険の旅へと出発するのだが──。


タイトルの通りにテリー・ギリアム監督作品です。

毎度結構な興味を引いてくるテリー・ギリアムなので見に行きました。
尖っていて、王道監督とは全く別の切り口で映画を作る印象です。

基本的にわけわからない映画が多いですが今作はその際たるものだと思います。
場面場面で何もかもが変わって行ってしまい、現実なのか?虚構なのか?夢なのか?
個人的には気持ちの良い意味不明でした。
どこか見逃した?ってくらい急に別の作品になってしまうかのような展開でした。

序盤は意外と普通で映画を作っている監督が横柄に振る舞いさほどうまく行っていない感じです。
それでクライアントの美人妻に手を出そうとしたり、撮影現場から逃げ出したり。

そしてかつて自分が自主制作映画を作った村を再訪してどんどんトラブルに巻き込まれていく展開です。
おバカな人たちが奇行して雪だるま式にどんどんエスカレートしていく物語でした。
最初は明らかに頭をおかしくした人物がややこしいことをしまくるのですが。
その人と一緒に旅をせざるを得なくなる逃げ場のないロードムービーな感じです。

そんな人物が引き金の様に次々とわけわからない人々が出てきます。
基本的にみんな登場時は結構普通の人の感じで出てくるのに、いつの間にか奇人な感じになるのが印象的でした。

最初に怖いシーンをいかにもリアルに見せておいて、ちょっと場面が変わるとチープなセットになっていたり。
終盤に行けば行くほど親切な描写もなく唐突に展開していくのでなかなかの不思議体験でした。
キャストの役割もかわるのでマルホランド・ドライブを思い出しました。

後で調べると、この映画を作るのに企画が何度も頓挫して繰り返し作ろうとしては失敗したらしく。
その歩みがこの不思議映画になった気がしました。

なかなか強烈でショッキングなオチで個人的には好きでした。
ただ全体としてはかなり冗長な描写だったとは思います。

主演の監督役はアダム・ドライバーでした。
つい最近までは渋い作品でインパクトを残す俳優だと思っていましたが、今やすっかりトップオブトップな俳優になりました。
今作は特に素晴らしく痛い役で個人的にはかなり好きでした。
一作の中でこんなに多くを表現する役はそうそう無いでしょう。

ドン・キホーテ役のジョナサン・プライスもなんかいい感じでした。
もともとのキャスティングを見ても結果このみすぼらしくパットしない感じが良かった気がしました。
見てる側が見てる最中に何度も印象を変えなければいけない奇妙な体験でした。

プロヂューサーをステラン・スカルスガルドがやっていました。
実に憎たらしく悪そうな振る舞いでわかりやすいナイスなキャスティングでした。

ヒロイン役は結構好みのオルガ・キュリレンコでした。
もっとヒロインな役どころかと思いきや結構ぞんざいな扱いでした。
それでもキレイなので出てくると集中力が増しました。

個人的にはかなり好きなタイプの作品ですが人には勧めにくい作品でした。


そんなわけで7点。

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