メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

少年H

2013年08月15日 | 映画
少年H を観た。


昭和初期の神戸。
洋服屋の仕立屋を営み柔軟な考えを持つ父・妹尾盛夫(水谷豊)、キリスト教を信仰する母・敏子(伊藤蘭)。
そんな二人のもと奔放に育つHこと肇(吉岡龍輝)と妹の好子(花田優里音)。
父の仕事に付いて行ったり、近所のうどん屋の兄ちゃん(小栗旬)に音楽を教わったりと楽しい日々を過ごしていた。
しかし、徐々に日本は戦争の足音が強まり、うどん屋の兄ちゃんが捕まり親しくしてたオトコ姉ちゃんは入隊を拒否して失踪。
やがて戦争が始まり父親が捕まったり、狂った日本の現状に常に疑問符を投げかけるHは苦悩する。
中学生になり軍事教育を受けるHはなおも疑問符を持ち続け、日本の現状に反抗的でトラブルメーカーとなる。
激変していく日常の中で遂に神戸も大空襲を受ける。
焼け野原となった神戸で終戦を迎え妹尾家は戦後を生きる。
その戦後の状況にも苛立ちを隠せないHだが、新たな日本を作るべく踏み出していく。


って話。


巨匠降旗康男監督によるベストセラー小説の映画化です。

神戸を舞台にした戦前から戦後を生き抜いた家族と少年の話です。
つい最近神戸に行ったばかりだったので「異人館街って元はこんな土地だったのか・・・」としみじみと納得しました。
親近感も強かったです。

ALWAYSの撮影隊がやっているだけあってかなり似たテイストの映像でした。
最近観たばかりの神戸の住宅街、三ノ宮、異人館、神戸駅等、高品質なCGで当時の時代の雰囲気がよく伝わりました。

空爆シーンもなかなかでした。
爆弾ってこんな感じで街に落ちたのだな、
こんな感じで防空壕にいたんだな、
こうして街は無くなったのだな、
等など。
創作も多いでしょうが、説得力のある映像で勉強になるものがありました。

売れっ子を使わず渋いキャスティングで絶妙だと思いました。
水谷豊は派手さは無いが安定感は半端ないですからね。

主人公のHを演じた吉岡龍輝君もいい感じでした。
妹を演じた子もかなり昭和的な子供でした。

小栗旬はちょい役ですが仕事を選ばずどこでもいい仕事するので非常に好感持てます。
主役級の旬の役者が値打ちをこかずにちょい役もどんどんやるのは信念を感じれていいですね。
革命的な役者さんですね。

原田泰造もとてもいい存在感でした。
近頃憎まれ役がハマってきていますね。

僕の好きな佐々木蔵之介は常識人ないい役でした。
余り活躍は無かったですがやっぱり観れる役者です。

戦争に向けてどんどんおかしくなっていく日本国内。
柔軟で先鋭的な考えを持つ妹尾家の人々はそんな日本の異常さを理解しつつもどうにもできないフラストレーション。
戦後の人々の変わりっぷりにも苛立ちを募らせる肇。
とても生々しく感じれました。

全般的に見事な演出でした。
ラストワンシーンもとても素晴らしかったです。
何度か言ってますが、ラストワンシーンは映画の印象に大きく影響を与える瞬間です。
この映画のラストシーンも忘れがたきとても素晴らしかったです。

詳しくは言えませんが、肇が間接的に未来への希望を抱く。
それを完璧に予感させる見事なラストでした。


そんなわけで7点です。


降旗康男監督は老若男女問わず満足させられる大作映画を創れるとても稀有な監督だと思います。

日本は本当におかしな時代を過ごしたのだなと深く悩まされました。
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