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記憶にございません!

2019年09月15日 | 映画
記憶にございません!
を観ました。


病院のベッドで目が覚めた男。自分が誰だか、ここがどこだか分からない。
一切の記憶がない。
こっそり病院を抜け出し、ふと見たテレビのニュースに自分が映っていた。
演説中に投石を受け、病院に運ばれている首相。
そう、なんと、自分はこの国の最高権力者だったのだ。
そして石を投げつけられるほどに……すさまじく国民に嫌われている!!!
部下らしき男が迎えにきて、官邸に連れて行かれる。
「あなたは、第百二十七代内閣総理大臣。
国民からは史上最悪のダメ総理と呼ばれています。
総理の記憶喪失はトップシークレット、我々だけの秘密です」
真実を知るのは、秘書官3名のみ。
進めようとしていた政策はもちろん、大臣の顔と名前、国会議事堂の本会議場の場所、
自分の息子の名前すら分からない総理。
記憶にない件でタブロイド紙のフリーライターにゆすられ、
記憶にない愛人にホテルで迫られる。
どうやら妻も不倫をしているようだし、息子は非行に走っている気配。
そしてよりによってこんな時に、米国大統領が来訪!
他国首脳、政界のライバル、官邸スタッフ、マスコミ、家族、国民を巻き込んで、
記憶を失った男が、捨て身で自らの夢と理想を取り戻す!
果たしてその先に待っていたものとは……!?


三谷幸喜監督作品です。

青春でありエンターテインメントの教科書であり若い頃大好きだった三谷幸喜作品です。
彼が切り開いたルートや方法論が後の日本のコメディを作ったとさえ思います。
公開二日目に観に行きましたがとても混んでいました。

昔は斬新で作品ごとに時代を作っているような印象さえありました。
流石に近年は平凡なコメディになってきた印象ですが今作も比較的平凡なコメディでしょうか。

面白さはありますが設定や方法論は既出の作品って感じです。
三谷幸喜作品を求める層も大分高齢になっているのでこういうわかり易いコメディになっていくのも必然かとも思います。

キャスティングやカメラワークやコメディに三谷幸喜テイストはふんだんに出ていますが、ストーリーとしてはごくごく普通のコメディでした。
予告の時点で思い出したのは三谷幸喜自身の総理と呼ばないでを思い出す設定ですね。
駄目総理を周りがコントロールするような。
観てみたらやはり系統は似てますね。

そして同一人物なのに記憶喪失をきっかけにいい人になってしまって。
最大のピンチなのにそれがことごとく功を奏していく感じは民王を思い出しました。
結構同系のストーリーだと思います。

キャスティングに個性が出るのはさすがですね。
実力派からちょっとネームバリューがない人も効果的に使ったり。

終盤に衝撃の事実が?大どんでん返しか?という場面がありましたが意外とそちらに転ばなかったのは賛否あるでしょう。
でも監督の狙いや信念みたいのは感じました。
安直にどんでん返しは使わないって感じでしょう。

かつての三谷幸喜作品ほど爆笑シーンは無くくすくすと笑うようなシーンの連発ですね。
殆どのシーンにもそれなりにジャブのコメディが差し込まれるので
物語が素敵なので老若男女が平等に楽しめる感じだと思います。

主演は中井貴一です。
コミカルからシリアスまでめちゃくちゃうまいですね。
こういう役者のポテンシャルを最大限に引き出す三谷幸喜の能力はすごいです。
予告の通り2面性を表現しなければならない役どころでしたがあまりにも見事でした。
日本映画史に残る演技でしょう。

ディーン・フジオカが秘書でした。
悪役なのか良いものなのかわからないところが不思議と絶妙で良かったです。
このイマイチ掴みどころが無いところが三谷幸喜作品らしくて良かったですね。

小池栄子がクールで誠実な秘書で、主人公並みに重要な役どころだったと思います。
ほぼ最初から最後まで殆どのエピソードに関わっていて。
いつもながら相当高評価な女優さんです、最高ランクの引き出しに仕分けするくらい評価しています。

草刈正雄が官房長官で中井貴一の親玉的なポジションでこの物語上では悪役的でした。
人格変わる前の総理とはうまくやってたようですが変わったあとの総理とは確執な流れでした。
総理と呼ばないでの時もそうでしたが、三谷幸喜は官房長官が実質の権力者的な設定が好きですね。

妻役の石田ゆり子が天真爛漫な困った妻役でめちゃくちゃ可愛かったです。
こういう女優さんの可愛さを引き出すのも三谷幸喜は才能がありますね。

斉藤由貴は官邸料理人でしたが自由奔放キャラでコミカルキャラでした。

吉田羊がライバル政党の党首ですがセクシーで良かったです。

ROLLYが義理の兄の役でしたが全然ROLLYだと気づきませんでした。
意外と役者として活躍してますね。

ずんの飯尾が変な特殊メイクのキャラでこれまた良いコメディやってました。

佐藤浩市が政治ゴシップを扱う記者でしたが流石の存在感で重要でした。
三谷幸喜作品での佐藤浩市が一番好きかもですね。
今年は他の映画で総理役もやって話題になってたのにそれを脅す側も自然とやってるのはわかりやすく役者としての凄さがわかりました。

田中圭、梶原善、寺島進など贅沢な脇役でした。

ジャルジャルの後藤もいい味出してました。
後藤の役者っぷりってあまりいじられませんが個人的には結構高評価してるのでもっとたくさん出てほしいです。

宮澤エマ、有働由美子などがなかなかのメイクのキャラで面白いキャスティングでした。

迫田孝也、藤本隆宏など三谷幸喜作品常連をいいポジションで使うの好きですね。
気に入った人は世の知名度を越えて使う感じ好きです。

期待したほどの爆発力は無かったですが流石に妥当に楽しめる娯楽作品でした。
老若男女楽しめるでしょう。


そんなわけで7点。

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