メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

淵に立つ

2016年10月11日 | 映画
淵に立つ
を観ました。


郊外で小さな金属加工工場を営む鈴岡家は、夫・利雄(古舘寛治)、妻・章江(筒井真理子)、10歳の娘・蛍(篠川桃音)の三人家族。
平穏な毎日を送るごく平凡な家族の前にある日、利雄の旧い知人で、最近まで服役していた八坂草太郎(浅野忠信)が現れる。
利雄は章江に断りなくその場で八坂を雇い入れ、自宅の空き部屋を提供する。章江は突然の出来事に戸惑うが、礼儀正しく、蛍のオルガンの練習にも喜んで付き合う八坂に好意を抱くようになる。
だが、ある時、八坂は一家に残酷な爪痕を残して姿を消す。
8年後。八坂の行方は知れず、利雄は興信所に調べさせているが、一向に手がかりはつかめない。工場では古株の従業員・設楽篤(三浦貴大)が辞めることになり、代わりに山上孝司(太賀)が新人として入ってくる。
母を亡くして独り身の孝司は屈託のない人柄でたちまち夫婦の信頼を得る。
だが皮肉な巡り合わせにより、八坂の消息をつかめそうになった時、利雄と章江は再び己の心の闇と対峙することになる―。


深田晃司監督作品です。

僕の好きそうな雰囲気があったので気になっていた作品です。
案の定自分の好きなテイストの映画でした。

日本映画らしく説明の少ない意味深な物語展開で。
登場人物たちの心境がさっぱりわからないまま物語は展開していきます。

さっぱり情報なしで観に行ったので、序盤はほのぼのなのかな?
何か独特なテイストのほのぼのだなーと思って観ていました。
突如家族に入り込んできた浅野忠信の存在が不気味すぎますが、
新手のホームドラマかしら・・・なんて気分でほっこりと観ていました。
でもまさかそういうことはやめてよね、って思いながら観てましたが、
そういう嫌な予感の地雷をことごとく踏んでいく感じでした。
すぐにダークな感じになってしまいます。

とある事件が起きますが、その時の皆の演技が斬新過ぎて。
結局観終わってからもその時の感情はわからないままでした。

年月は流れすっかり悲しいベースの映画になってしまい。
扱うべき要素のボリューム感はなかなかですが、
それでもスローペースで実に良い空気感です。

浅野忠信は主人公では無いと思いますが物語の核で。
近年の浅野忠信らしい物静かでいい人で不気味なおじさんを見事に演じていました。
しかしこの人鼻息で演技しますよね。
鼻息だけで演技する人はこの人以外に思い浮かばないです。
その鼻息感を堪能するためにも是非映画館の音響で観ていただきたいです。
浅野忠信のキャラが弾くオルガン曲も独特で映画の世界観に実にマッチしていました。
この曲が非常に記憶に残ります。
この人が醸し出す怖さってなかなかですよね、その辺でもっとブレイクしても良い気がしました。
実際にオルガンを弾いていたのも良かったですね。

実際の主人公は筒井真理子かも知れません。
コレは賞レースを賑わせてもいいくらいの素晴らしい熱演でした。
何も知らないちょっと美人な普通の主婦から、不倫に手を出す危うい女性に。
そしてとある事件をきっかけに不潔恐怖症で精神不安定で何か怖い主婦になってしまいます。
かなり難しい役どころだったと思いますが相当リアルに演じていました。
途中で体型すら変わったように見えました。

古舘寛治がまた主役的なポジションですが、コレまた見事な演技でした。
いつもながら受け流すようなどことなく力が抜けるような演技で。
でもその感じは代えが利かないですね。
幾つかの映画で密かに非常に重要なスパイスとなっている役者だと思います。

最近、高評価が著しい大賀も出てましたがこの子の演技力は本物っぽいですね。
実にいい演技をしますが、この映画ではあまりに鈍感な役でした。

この手の映画に綺麗な起承転結を求めるのはナンセンスだし、
案の定結局何が言いたかったのか?結局どういうことだったのか?は残りました。

ちょっとベタに秘密がバレたりして、バカだなーって思う場面もありましたが、
実に見応えある映画でした。


そんなわけで7点。
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