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罪の声

2020年11月01日 | 映画
罪の声
を観ました。


35年前、日本中を巻き込み震撼させた驚愕の大事件。食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件は、誘拐や身代金要求、そして毒物混入など数々の犯罪を繰り返す凶悪さと同時に、警察やマスコミまでも挑発し、世間の関心を引き続けた挙句に忽然と姿を消した謎の犯人グループによる、日本の犯罪史上類を見ない劇場型犯罪だった。
大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、既に時効となっているこの未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、取材を重ねる毎日を過ごしていた。 一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)は、家族3人で幸せに暮らしていたが、ある日、父の遺品の中に古いカセットテープを見つける。
「俺の声だ―」
それは、あの未解決の大事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫テープと全く同じ声だった!
やがて運命に導かれるように2人は出会い、ある大きな決断へと向かう。
「正義」とは何か?「罪」とは何か?
事件の深淵に潜む真実を追う新聞記者の阿久津と、脅迫テープに声を使用され、知らないうちに事件に関わってしまった俊也を含む3人の子どもたち。
昭和・平成が幕を閉じ新時代が始まろうとしている今、35年の時を経て、それぞれの人生が激しく交錯し、衝撃の真相が明らかになる ――


土井裕泰監督作品です。
王道ドラマを上質にする印象でベタで面白い作品の印象です。

この主人公はかなり近いほぼ同世代。
自分世代には鮮明に記憶に残っているグリコ森永事件をモチーフにしてるのは容易に想像つきます。
商品名、企業名は変えてますがほぼリアルに近くて不思議な作品でした。

かなり巧妙で登場人物も多く、複雑な人間模様を描いていてなかなか難しかったですが。
脳内で組み立てながら見なければならないタイプなのでちょっと油断するとわからなくなるので冴えた頭と集中力が求められます。
あまりにリアルで重厚な内容なので、あれ?コレ実話ベース??って錯覚することもちょいちょいでした。
本当に?いや、そんなわけ無いよな、の連続でした。
あんなに社会を震撼させた事件だったのに、改めてなかなかの未解決事件ですね。

過去の事件を掘り起こして調べる事になった新聞記者の小栗旬のストーリーと、
ひょんなことから過去の事件に自分の声が脅迫として使われていた事に気づいたテイラーの星野源が事件の関係者を調べるストーリーが同時進行です。
奇遇にも古い事件を違う入り口から調べる二人が徐々に近づいてお互いのストーリーに共通の登場人物が出てきたりして。
そして交錯して一本のストーリーになっていくのはなかなか痛快な構造でした。

そして最初は相容れない二人に妙な絆が生まれていく感じもなんかほっこりといい感じでした。
ストーリー重視の物語なのに一旦ストーリーとは外れて二人の交流シーンを描いたのはちょっと好感持てました。
そんな感じにちょっとした伏線をうまいこと散りばめていてうまいことエンターテインメント性を生み出していました。

詳しく調べてないですがモデルとなったグリコ森永事件が何だったんだろう?とは自分には薄っすらとありますが。
それをオリジナルのストーリーで見事に描ききっていて関心しました。

そして力作らしくイギリス舞台のシーンが多く、しかも海外ロケしてますという押し付けもさほど無く。
この手の邦画に海外舞台が差し込まれると異物感あったりすることもありますが、ちゃんと物語に馴染んだ海外シーンでした。

ほんのりネタバレですが先日見て悲しくて泣けた”望み”と似た悲しみですね。
描く順番を変えるだけで夢を抱く若者がこんなにも悲しくなるものです。
辛くて張り裂けそうでした。

入り組んだ物語がだんだん結実していって衝撃的などんでん返しなど。
後半に向けてのストーリーの加速感はなかなか興奮しました。
フリに見合う納得のオチで見事な起承転結でした。

主演は大好きな小栗旬でした。
新聞記者らしいちょっとガサツでだらしない雰囲気もありつつとても優しいという絶妙な人間性。
そんな難しいキャラ設定を流石の力量で自然に表現してました。
変わらずカッコいい上に年々渋さが増してきてまだまだ伸びしろですね。

もうひとりの主演は星野源でした。
音楽活動はかなり好きですが俳優活動はまあまあ好きです。
彼のパーソナリティにマッチした役どころで小栗旬とのコントラストはいい感じでした。

演技派の宇野祥平が今作ではキーマンの役でした。
どんな作品でも高評価してきましたが、今作は特に素晴らしいです。
壮絶さすら感じさせる静かな熱演でした。
そこまで多くはない出番でしたがこの大作でも彼のインパクトが最大級だったし賞レースで高評価されるべきでしょう。
俺アカデミー助演男優賞ノミネートですね。

星野源の妻役は市川実日子でした。
言わずもがなの演技派ですが今作でも彼女の余裕のある演技は映えてました。

原菜乃華がとても重要な役をやってました。
この子も悲壮感溢れこの作品の悲しみの部分を背負う役でした。
作品の印象や雰囲気を決定するのにとても重要なポジションでしたが非常に見事でした。
今までそんなに注目してきませんでしたが一気に注目株です。
思い出しても悲しくてたまらないですね。

篠原ゆき子もこの手の演技力を求められる悲壮感溢れる役をやりがちですね。
今作でも悲しい役をやってましたね。
ただお婆さんメイクでお婆さん役をやらされてましたがそれは実際のお婆さん女優さんでやった方が良いように思えました。
良い物語の中でちょっと冷めてしまう瞬間でした。

ガチのいかつい役をやらせたらピカイチの阿部亮平が今作もその手の役でした。
この人の迫力ってなかなか凄いので業界評価は高いでしょうけどもっと世間的な評価が高くてもいいでしょうね。
いつかバズる役者になる予感がします。

松重豊、古舘寛治、火野正平、尾上寛之、川口覚、阿部純子などの実力派バイプレーヤーも非常に良い味だしてました。
このちょっと褪せてて暗くて重いテイストの作品にはよくマッチしてました。

シリアスで社会派な本格派な大作映画でとても見応えありました。


そんなわけで8点。
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