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「ごらん、世界は美しい」

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惡の華

2019年10月01日 | 映画
惡の華
を観ました。


山々に囲まれた閉塞感に満ちた地方都市。中学2年の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった…。
仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。
そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう…


井口昇監督です。

漫画原作のようですが漫画は読んだことありません。
予告編を見て結構興味を惹かれたので観に行きました。

冒頭の思春期のこじらせやらその経験者へ。
みたいなメッセージから結構つかまれました。

自分も思春期には世間の常識と自分の価値観が全然一致せずに当時の彼女と自分たちの価値観だけの行動をしていました。
服を着たまま冬の海に入るような無茶していました。
青春ロマンチックな綺麗な話ではなく世間の常識との軋轢でした。

言ってしまえばその過激版みたいな今作のお話だったのでかなりしっくり来ました。
特別何があるわけでは無いのだけれど、変態的な行為も破滅的な行為も思春期には全然おかしくないと思いました。
この狭い世界、わかり合えた者同士がどんどん独特な世界に加速していくのはごく自然なことでしょう。

狭い街を舞台にどんどんこじれて追い詰められていくさまは見ていてとても共感出来たし辛いほどでした。
やめてよ!って思う方向ばかりに主人公が行くのでしんどいのですが思春期の深みを実に見事に表現していたと思います。

作中では中学生から高校生になって中学生時代の闇を更に内側に秘めた高校生活って感じで。
強烈に隠すべき過去と向かい合う高校時代もまた共感できてしんどかったですね。

思春期の不安定さやらその思考の深さやら世間との距離やらを見事に表現した素晴らしい映画だと思います。
ただこのテーマだともう少しハイセンスな演出をして超名画になれるポテンシャルもあったように思いました。
素材は良いですが出来は妥当って感じでした。
ミニシアター系なもっと作家性強めの作品にした方が逆に良かったかも、、、な気持ちも抱きました。

主演の伊藤健太郎はワイルドな役から繊細な役まで幅広くて良いですね。
いつの間にか改名してますが決断の速さも良いですね。
今作はナイーブな方のキャラでしたがかなり良いクオリティだったと思います。
変態的な恍惚の表情やら苦悩の表現やら素晴らしかったです。

相手役の玉城ティナも最近結構なハイセンス女優になりつつありますね。
難しい役でしたがかなり様になっていたと思います。
セクシーさやら可愛さやら不思議ちゃんな雰囲気やら色々表現できますね。
今後良い女優になっていくかもですね。

飯豊まりえは本当にいろんな作品に役を選ばず出ていて好感度です。
今作はモテる、憧れられる女子高生から、主人公と出会ってシリアスで体当たりな演技まで。
非常に説得力ある演技をしていたと思います。
ルックスと役選びのバランスが良いですね。

秋田汐梨がクラスのマドンナ役でした。
最初は純真の象徴みたいなキャラだったのに主人公たちに毒され結構な悪女になっていきました。
エロの描写もなかなかだったしかなり評価が上がりました。
今後も要チェックな女優さんです。

満足度以上に記憶に残るような作品でした。
きっと原作が良いのかも知れないと思ったので機会があれば読んでみたいですね。


そんなわけで7点。

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