メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

今度は愛妻家

2010年02月07日 | 映画
今度は愛妻家 を観た。

行定勲監督作品です。

気をつけてください・・・名画です。
かなり泣けました。

相変わらずめっちゃイイ空気感です。

詩のような映像です。

思い出のような映像です。

豊悦超イイ演技です。

思い出し泣き出来そうです。
世界の中心で愛をさけぶ級に後引きます。

(お話)
北見俊介(豊川悦司)とさくら(薬師丸ひろ子)夫婦のお話。

紙芝居、昔の無声映画の様な感じで二人の一年前の沖縄旅行の様子。
さくらは子作りに必死だった。

一年後。

北見は元売れっ子カメラマンだが今はすっかり働く気を無くしぐーたら過ごす毎日。
軽薄で浮気性で全然さくらの言う事は聞かない。
写真は1年間一枚も撮っていない。

さくらは健康マニアでいつも不味いものを北見に食べさせたり飲ませたりする。
しかし北見は拒む。

仲良しな感じの喧嘩ばかり。
しかし子供を作る気がないなら別れてとさくらは言う。

ある日さくらは友達と箱根旅行に行くと言う。
かつてのネームバリューから北見にオーディション用の写真をとって欲しいと言う売れない女優の吉沢蘭子(水川あさみ)が訪ねてくるというので、北見はさくらに内緒にして、さっさとさくらを出かけさせようとする。

さくらはいつも通りノロノロとして中々出かけない。
焦る北見。

やっとさくらは出かけ、蘭子が現れる。
さくらの写真は死んだ妻だと嘘をつき、キスをしてエッチをしようとするが、蘭子がシャワーを浴びてる時に、忘れ物をしたとさくらが帰ってきて、浮気がバレる。
呆れて出て行くさくら、萎えてエッチを中止してでかける北見。

結局写真は弟子の古田誠(浜田岳)に撮らせる。
それがきっかけで蘭子と誠は付き合う様になる。

とことんお調子者で駄目亭主な北見は、愛人的な井川ゆり(井川遥)と遊ぼうとするが今日はさくらに見つかりそうな気がするとそれも中止する。

それからしばらく相変わらずのぐーたら生活を送るが、さくらが帰って来ない。
少し不安な気持ちを抱き始める。

北見の世話はオカマの原文太(石橋蓮司)がする。


(ネタバレ)
蘭子は誠が撮った写真で見事一次審査を通過する。
しかし数日後妊娠したからと金をせがみに来る。
誠はわかったと金をおろしに行く。
実は緊張してエッチの時ダメだった事を聞いている文太は蘭子の妊娠が嘘だと思う。
しかし本当に妊娠しており、蘭子は元彼の子供だと理解する。

文太は誠には妊娠は嘘だったと言いなさいと、お金を貸して蘭子を帰す。
最初から不仲だった二人だが、文太に感謝する蘭子。

そしてようやく帰ってきたさくら。
本当は寂しかったクセに、なんで連絡をよこさない、一人暮らしの方が楽しいなどと悪態をつく北見。

じゃあもう私が居なくても大丈夫だね。
と言うさくら。

北見は密かにさくらの気を引きとめようとさり気なくさくらが無くした指輪を不器用にプレゼントしたりする。

でもさくらは好きな人が出来たと告白する。
へー、と強がる北見。
しかしいざさくらが出て行く時、男くらいで出て行くなと引き止める。

もう無理だと後戻り出来ない状況。
最後に離婚記念に写真を撮ってよと言うさくら。
急にテンションが上がり写真を撮りまくる北見。
しかし急に我に返りさくらは出て行く。

カメラの中の写真を現像しながらほんのり涙を流す北見。
さくらの沖縄旅行でのバックショットを現像しながら沖縄旅行の事を思い出す。

そしてさくらの部屋へ行く。
そこにはさくらが座っていた。
「ホントに出て行ったと思った?」とイタズラな笑顔を作るさくら。

そして
「お前さ、どうして死んじゃったの?」
という北見。

そう、さくらは1年前の沖縄旅行で交通事故に遭い死んでいた。
北見はショックのあまりずーっとさくらの幻と暮らしていたのだった。

沖縄旅行のさくらは子作りのために悲壮な決意をもって出かけていたが、北見は相変わらずの適当な対応。
悲しんださくらは離婚を決意して離婚記念の写真を撮ってと言い出し、北見もその気になったがさくらは指輪を忘れたとホテルに走って行った。
その背中に慌ててシャッターを切った北見。
その道中でさくらは事故に遭ってしまった。

さくらの一周忌のクリスマス。
文太や誠は喪服を着ているがさくらの死を受け入れようとしない北見はモミの木を買ってきて陽気に部屋に飾り酒を飲んで騒ぐ。
そこにやってきた蘭子も一緒に騒ぐ。

文太はいい加減にしろとキレる。
そしてもう限界だと出ていこうとする誠。
そこで実は誠は文太に金をもらって自分の世話をしていたことを北見は知り文太と誠にキレる。
みんなが喧嘩しあう。
蘭子はいい大人全員が駄目駄目だと呆れる。
しかし実は自分も子供をおろせず、オーディションも棄権してしまったことを告白し帰って行く。
そんな蘭子を追いかけ幸せにすると抱きしめる誠。

残された北見と文太はまだ言い争う。
悲しいのは北見ちゃんだけじゃ無い、子供を無くすことも辛いんだ!と怒鳴る文太。
実はオカマの文太はさくらの父親だった。

二人は仲直りするが、北見がさくらはここに居ると言い出し愕然とする文太。
しっかりしてと言うが、居るんだから仕方ないと言う北見。
二人きりにしてくれと言う北見に失望して出て行く文太。

そして静かなクリスマス、北見はさくらと沢山話をする。
さくらを抱きしめてありったけの愛を語る。
「知らなかったな、あなたがそんなに私のことを好きだったなんて」と涙をながすさくら。

しばらくして文太がケーキを持って帰ってくる。
ケーキにロウソクを立てながらすっかり仲直りした二人は居酒屋へ向かう事にする。

先に行っててと文太に言い、北見は薄明かりの部屋でロウソクに火をつける。
向かい側で優しく微笑むさくら。
北見がロウソクを吹き消して行く毎にさくらは消えて行き、最後のロウソクを吹き消した時、さくらの幻は消える。



(評価)
泣けたわー、泣けた。
まさかこんな映画とは思いませんでした。
本気で序盤はコメディ映画かと思って観てました。

これは早くも今年の俺アカデミー賞候補作品でしょうか。

豊悦のおちゃらけた演技で序盤は笑い声さえだして観てましたが、後半になるとそのお調子者感が悲しすぎます。
前半を思い出して振り返って泣けます。
素晴らしすぎる演技でした。
あのネタバレの一言のシーンは日本映画史に残る名場面だと思います。

夫婦のセリフのやり取り、日々の習慣、空気感が超自然な感じで素晴らしかったです。

自分もそれなりに恋をしてきましたが極度の照れ屋なので必要以上に強がったり悪態ついたりしてしまう感じがよくわかります。
何度も女性に出ていかれた経験がありますが、別にいいや的なのとその後の寂しさと、その感じがよーく出てました。

悲しきかな、わかっていても無くすまで気付けないのですね。

行定監督のあの淡い映像がまたたまらんのです。
相変わらず女優さんを綺麗に見せる魔法な感じでした。

正直おばさんな薬師丸ひろ子もめっちゃ可愛らしい感じに仕上がってましたし。
夫婦二人のシーンはめっちゃいい夫婦って感じで最高でした。

ほぼ5人の密室劇で行定監督にしては珍しい感じの手法だなと思いました。
ワンカットが長めで舞台のような印象でした。

後半が少々くどい様にも感じましたが、何においても演出と映像が素晴らしい。
詩のような映像でした。

そんなわけで9点です。


これは是非一度は観ておいた方がいいと思いますよ。

豊悦は名俳優ですわ。



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